ジョージ・ルーカスの真髄が詰まった『ウィロー』!34年の時を結ぶ、冒険ファンタジーの“原点”に迫る
ディズニープラスで好評配信中のオリジナルシリーズ「ウィロー」。これまでに全8話中6話が配信されている本作は、邪悪な勢力に立ち向かう魔法使いウィロー(ワーウィック・デイヴィス)や剣士たちの奮闘を描いた「ルーカスフィルム」による冒険ファンタジーだ。
残り2話のクライマックスに向け、物語が加速している本作。そのオリジンが、ジョージ・ルーカス原案&製作総指揮、ロン・ハワード監督の映画『ウィロー』(88)で、暗黒の世界を救う救世主となる赤ん坊を守るため、魔法使いに憧れる青年ウィローと流れ者の剣士マッドマーディガン(ヴァル・キルマー)が活躍する。
宇宙を舞台にした「スター・ウォーズ」、世界各地の秘境で大冒険を繰り広げる「インディ・ジョーンズ」と大ヒットシリーズを手掛けてきたルーカスが、イマジネーション豊かな異世界で善と悪との戦いを描いた冒険ファンタジー大作で、魔法や妖精、怪物など幻想世界を彩るSFXは『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(77)のためにルーカスが設立したSFX工房ILM(Industrial Light & Magic)が担当。デジタルへの過渡期だった当時、CGを本格的に取り入れた視覚効果も話題を呼んだ。
ジョージ・ルーカスのイマジネーションが込められた映画『ウィロー』
邪悪な魔女バブモルダ(ジーン・マーシュ)が世界の大半を支配していた時代。ネルウィン族の農夫ウィローは、近くの川に流れ着いた人間の赤ん坊を発見する。妖精の女王からその子が世界に平和をもたらす真の女王エローラ・ダナンだと知らされたウィローは、荒くれ剣士マッドマーディガンと共に赤ん坊を平和な王国ティル・アスリーンに送り届ける旅に出た。
ルーカスが映画『ウィロー』のアイデアを思いついたのは1970年代のこと。「スター・ウォーズ」を構想するため、あらゆる神話や物語をリサーチしていたルーカスは、おとぎの世界を舞台にした物語を思いつく。やがて完成した物語は、スペース・オペラや冒険活劇のエッセンスを凝縮した「スター・ウォーズ」や「インディ・ジョーンズ」同様、神話や民話のほか「ガリバーの冒険」、「指輪物語」など様々な物語の魅力を詰め込んだファンタジー映画の決定版として映画化された。
本作の魅力はなんといっても、ルーカスが生みだした個性あふれるキャラクターにある。魔法使いを目指しているが自信が持てないウィロー、腕は立つが自分のことしか考えないマッドマーディガン、身長数センチの陽気なコンビ、ブラウニーズ(ケヴィン・ポラックとリック・オーヴァートン)、どこか抜けている善の魔術師フィン・ラゼル(パトリシア・ヘイズ)、そしてバブモルダの娘でありながらマッドマーディガンに恋をするソーシャ(ジョアンヌ・ウォーリー)。ヒーローらしからぬ者たちが、時に衝突しながら戦いのなかで正義に目覚めていく姿は痛快だ。人間(ダイキニ)やネルウィン、妖精やトロールなど様々な生き物たちが共生し、種を超えて絆を育んでいく展開も「スター・ウォーズ」でも見られたルーカスらしさといえる。