『ジュラシック・パーク』から30年…「ジュラシック」シリーズの恐竜はどう進化した?SFXの歴史を一挙に振り返る
アニマトロニクスとCGの合わせ技が光る『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク』
続く『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク』(97)は、あらゆる面でボリュームアップを図った超大作として完成した。前作では7種だった恐竜たちは今作では13種とほぼ倍増。メインのT-レックスは2体登場することになり、ウィンストン・スタジオは追加のT-レックスを含む6体のアニマトロニクスを新たに作成した。カギ爪を動かし歩くラプトルのカットを撮るために、人が入って操る下半身だけのラプトルも制作。2体のT-レックスはレールに乗せた台車で移動でき、躍動感ある撮影も可能になった。
デジタル恐竜たちもアップデートされ、ILMが開発したCGソフト「カリカチュア」によって筋肉の動きをよりリアルにシミュレート。ジープやバイク、装甲車が逃げる恐竜の群れを追い回す恐竜ハント、T-レックスがサンディエゴの市街地で暴れ回るスペクタクルなども観客の度肝を抜いた。そんな本作ではアニマトロニクスとCGの連携も密になり、冒頭で幼い少女がコンピーの群れに襲われるシーンでは、彼女が餌を与える1匹のみがアニマトロニクスで、ほかはCGで作り合成するという合わせ技も効果を盛り上げた。
アナログとデジタルの連携がさらにブラッシュアップした『ジュラシック・パークIII』
完全オリジナルストーリーの『ジュラシック・パークIII』(01)には、最大級の肉食竜スピノサウルスが登場。T-レックスとの死闘を制するなど凶悪ぶりを見せつけた。スピノはアニマトロニクスとCGで描かれたが、アナログ・デジタルの連携はブラッシュアップ。スピノが不時着した飛行機を襲うシーンでは、アニマトロニクスの腕が機体を揺さぶる姿が撮影され、その動きにシンクロさせたCGのボディを合成してスケール感ある映像に仕上げている。また、プテラノドンの巣のシーンでは親はCG、餌を求める赤ん坊たちはパペットで操って撮影された。
今作は前作に比べ恐竜たちのアクションにケレンミが加えられ、ドラマチックな味付けがされた。映画ならではの楽しさが増えた一方、「ジュラシック」シリーズの恐竜監修を務めた古生物学者ジャック・ホーナーの提案で、頭に羽毛の生えたラプトルが登場。ラプトルの知能の高さに焦点を当てた今作では、アニマトロニクスのほか全身のスーツや前作でも使用した下半身も使って俳優との共演シーンが描かれた。