『ラ・ラ・ランド』『バビロン』…音楽で夢を紡ぐ若き才能、デイミアン・チャゼル監督作を総まとめ!
『ラ・ラ・ランド』(16)でアカデミー監督賞を史上最年少で受賞したデイミアン・チャゼル監督。最新作『バビロン』(2月10日公開)では、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビーほか豪華キャストを迎え、『ラ・ラ・ランド』と同じハリウッドを舞台に、夢と音楽にあふれたエンタテインメントを描きだす。映画作りへの熱い想いを詰め込んだ本作を堪能するべく、これまでのチャゼル監督作品を一挙プレイバック。大スケールの撮影現場の様子や、ピットらがチャゼル監督の手腕を絶賛するコメントも収められた『バビロン』特別映像とあわせて、おさらいしていこう。
デイミアン・チャゼルの名を轟かせた出世作『セッション』
デイミアン・チャゼルの名を、最初にハリウッドで轟かせたのは、第87回アカデミー賞で5部門にノミネートされ、J・K・シモンズの助演男優賞を含む3部門を受賞した『セッション』(14)だろう。
ジャズドラマーを志し、アメリカ最高峰の音楽学校へ通う19歳のアンドリュー・ニーマン(マイルズ・テラー)は、学院最高の指導者であるテレンス・フレッチャー(シモンズ)が指揮をするスタジオバンドチームに加入することに。一流のミュージシャンを輩出することに取り憑かれ、生徒に対し人格否定や罵声、はたまた暴力まで振るうフレッチャーの厳しい指導に必死に食らいつくも、彼の精神は次第に追い込まれていく。
本作はチャゼル監督自身が高校生時代に所属していた、強豪ジャズバンドで厳しい指導を受けたという実体験が脚本に反映されている。数々の映画祭で注目を集めた作品であり、チャゼル作品を語るには外せない1本となった。シモンズの鬼気迫る圧巻の演技と、ラストに訪れるカタルシスをぜひご堪能いただきたい。
世界を魅了した代表作『ラ・ラ・ランド』
チャゼル監督にとっての代表作といえば、やはり世界中を虜にした『ラ・ラ・ランド』だろう。この作品の音楽は、いまもなお日本中から聴こえてくる。
夢を追う人々が集うロサンゼルス、ハリウッドを舞台に、女優を目指してオーディションに挑戦する日々を送るミア(エマ・ストーン)と、自分のジャズ・クラブを開くことを夢見る売れないピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)。本作は、2人の恋模様と夢の行方を、壮大かつキャッチーなジャズミュージックと共に描いていくミュージカル映画だ。
キャストのすばらしいパフォーマンスと極上の音楽が話題を呼び、第74回ゴールデン・グローブ賞で作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、監督賞、作曲賞など7部門を獲得。さらに第87回アカデミー賞でも史上最年少で獲得した監督賞のほか、作曲賞等6部門を受賞するなど、この年の賞レースを総なめにし、世界中で大ヒットを記録した。誰しもが一度は耳にしたことがあろう秀逸な楽曲の数々は、色あせることなく現在も多くのCMやイベントに使用されている。
キャリアを確かなものにした意欲作『ファースト・マン』
チャゼル監督が『ラ・ラ・ランド』で主演を務めたゴズリングと2作連続でタッグを組んだ『ファースト・マン』(18)は、アポロ11号の船長で、月面に到達した世界初の人物となった宇宙飛行士ニール・アームストロングの実話を描いた作品。
壮大なミッションに立ち向かう男たちの過酷な道のりと、それを通して結ばれていく宇宙飛行士たちの絆、寡黙なアームストロング船長の知られざる素顔を、宇宙空間での臨場感満載の映像とともに描き出していく。
日本語字幕の監修を日本人初の宇宙飛行士に選定された毛利衛が務めたことでも話題となった本作は、第91回アカデミー賞で視覚効果賞を受賞。今までの作風とは打って変わり、チャゼル監督の新境地を開拓した意欲作である。