【連載】「MINAMOの話をきいてミナモ?」 第11回 あんな人こんな人
私の中にも「困ったサン」はきっと存在する
「聲の形」という漫画がある。
一体何が正解で何が不正解なのか、ストーリーは小学生から始まるが、人との向き合い方を改めて考えさせられる作品である。学校という狭いようで本人たちには広い世界、その中でいろんな事情を抱え、それぞれの考えや意志がある。主に障がいといじめについての話だが、全くもって私たちとは遠い世界の話、などではない。
大人になって知識と常識を得て、「いじめはいけないこと」ということが皆身についている。そして同時に「いじめは自分にとって不利」ということも、誰も言わないが身についていくはずだ。しかしそうして、いじめでも嫌がらせでもない、その中間を漂うなんだか嫌なコミュニケーションをとる大人が出来上がってしまうようにも思う。それは人を壊す可能性が十分にあるということを、私は言いたい。
いくら歳を重ねてもきっと人との向き合い方は本当に難しいことなのだろう。それは私を日々悩ませるが、日常に潜む、厄介な「困ったサン」のほとんどは、満ち足りなくて、何かに飢えていて、いくらでも欲しくて。ただそれだけなのだろう。だけれど、その空白を私が埋めなければいけないか、というとそんな義務はない。自分の劣等感や承認欲求を他人にぶつけていては、あなたの欲しいものは一生手に入りませんよ、と誰も教えてはくれない。その前に自分で気づいてくれればいいのだが。「ニ度と会わない」という選択を選べたらいいのに。これから長いこと付き合っていかなければいけない相手、ならそれは不可能だ。親戚や会社の同僚、上司、学校の同級生など。だが、「ヤバイ」と思う相手なら、痛手を負う前に逃げてもかまわない。
「困ったサン」の多くは自分の一言で相手の感情を左右させたことに気付かない。恐ろしいことに、自分もそうなり得るのだ。人は誰でも良い面も悪い面もある、多面的な生き物である。私の中にも「困ったサン」はきっと存在する。だからこそ、人を「一人のヒト」として接することのできる人間、人に優劣をつけない人間でありたいと改めて思い直した。
自分が感じた違和感やチクッとした痛みは本物で、真実なのだ。あなたに向けられた悪意や悪気のない無礼に対する鬱憤が、少しでも晴れますように
京都府出身。2021年6月にSOFT ON DEMANDよりAV女優としてデビュー。趣味は映画&レコード鑑賞、読書。
YouTubeにて「MINAMOジャンクション」を配信中。
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