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「生きることを考えさせられた」「涙なしでは観られなかった」フランソワ・オゾン監督が見つめたリアルな“安楽死”を、あなたはどう捉える?

コラム

「生きることを考えさせられた」「涙なしでは観られなかった」フランソワ・オゾン監督が見つめたリアルな“安楽死”を、あなたはどう捉える?

自分の親が死を望んだら…安楽死について観客はなにを思った?

本作は安楽死の是非を問う作品ではないものの、それでも鑑賞後は、自分がもし主人公の立場だったら?といろいろ考えさせられてしまう。そこで安楽死制度の必要性について投げかけてみたところ、「必要」が60%、「わからない」が30%、「必要ない/あまり必要ない」が10%という結果に。「必要」と答えた人からは

「延命して生きるのとどちらがよいかを考えると、あってもよいのではないかと思う」(20代・女性)
「生きる権利があるので、人生の幕を閉じる権利もあると思う」(20代・女性)


との声が集まり、「わからない」という人からは「この映画を観るまでは必要だと思っていたが、本人だけの問題ではなく、関わる多くの人の気持ちを尊重する必要もあるとわかり、結論が出せなくなった」(20代・男性)との意見も挙がった。

そして「必要ない/あまり必要ない」派からは「悲しむ人がいるから」(30代・女性)「死ぬことで救われるものがあまりにも少ないから」(30代・男性)と、いずれも切実な意見が並んでいた。

『すべてうまくいきますように』は2月3日(金)公開
『すべてうまくいきますように』は2月3日(金)公開[c]2020 MANDARIN PRODUCTION – FOZ – France 2 CINEMA – PLAYTIME PRODUCTION – SCOPE PICTURES

一方、「劇中の主人公のように、自分の父親から安楽死をしたいと相談があった場合、協力できるか?」という質問には、19%が「できる」、33%が「できない」、48%が「わからない」と回答。それぞれの立場から

「意思を尊重したいので、できる限り寄り添って考える」(50代・女性/「できる」と回答)
「どんな姿でも親に生きていてほしい。罪悪感と後悔を抱えて残りたくない」(40代・女性/「できない」と回答)
「自分の人生と愛する人の希望で悩むのだと思う」(20代・女性/「わからない」と回答)
「頭では理解できても実際に家族がそうなったら気持ちが追いつかないと思う」(30代・男性/「わからない」と回答)


といった意見が寄せられ、安楽死の制度を「必要」と考えつつも、自身の親となると…という人も多く、簡単に割り切れることではないことを改めて示す結果となった。

また死や人生について考えさせられる本作を「誰に、どんな言葉で勧めたいか?」という問いに対しては、以下のような熱量を感じるコメントで埋め尽くされており、本作が観る者の心に刺さるなにかを与える作品だと証明していた。

「人生に悩んでいる人に、死について考えることで、生きることを考えさせられました」(20代・女性)
「いま現在身近な人との死別に向かっている人に、どんな決断も間違ってはいないと伝えたい」(50代・女性)
「同世代の友人に、将来考えなければならない問題を描いている映画」(50代・男性)
「両親に、”安楽死”というテーマと向き合う作品。見終えてから3人で語り合いたい」(40
代・女性)


”安楽死”という議論を呼ぶテーマを扱いながらも、軽やかさとユーモアを併せながら、人生と向き合う様々な立場の人物を描いていく『すべてうまくいきますように』。生きることを考えさせられる1作なので、ぜひ劇場に足を運んでみてほしい。

構成・文/サンクレイオ翼

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