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【ネタバレあり】辛酸なめ子が、倦怠期とは無縁な夫婦愛をイラストレビュー。妻に頭の上がらない“魔王”織田信長の、魂の居場所

コラム

【ネタバレあり】辛酸なめ子が、倦怠期とは無縁な夫婦愛をイラストレビュー。妻に頭の上がらない“魔王”織田信長の、魂の居場所

南蛮人の演奏で2人でダンスするシーンも、この多幸感がいつまでも続いてほしいと思わされました。織田信長は本能寺の変を生き延びて、ローマで枢機卿になったというトンデモ説が本当だったら良かったのに……と思いながら、目頭が熱くなります。しかしそのあとの展開は歴史に記された通りで、誰もが結末を知っているからこそ、幸せなひとときの儚さが胸に迫ります。タイトルの「レジェンド」は織田信長、「バタフライ」は「帰蝶」とも呼ばれた濃姫を表すそうですが、中国故事の「胡蝶の夢」という言葉も連想せずにはいられません。蝶になった夢のように、幸せな瞬間ははかなく消えていってしまいます。夢か現実かもわからない、という例えです。映画の終盤、厳しい状況に置かれた信長が見た夢こそ、実は現実なのかもしれない……そう思うと少し救いがあります。夢の中でも濃姫をケアしているところに、深い愛情を感じます。

信長にとっては、天下よりも濃姫と過ごす時間のほうが大事な“魂の居場所”だった?
信長にとっては、天下よりも濃姫と過ごす時間のほうが大事な“魂の居場所”だった?[c]2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会


濃姫の方も、憎まれ口を叩きながらも、常に信長のことを想っていました。「愚策!」「つまらん人生じゃったな」「こわい顔になったのう」などと挑発したり諌めるのも、愛情があってのこと。「われ人にあらず!第六天の魔王なり!」などと言い出した夫を見放さないところにも愛を感じます。
天下統一が夢だった信長ですが、天下よりも家庭の方が彼にとって大切な魂の居場所だったのでしょう。激しすぎる信長と濃姫のストーリーを観て、平凡な幸せの尊さに気付かされます。

公式サイトのWEBマガジン「レジェバタ公記」では、撮影現場への潜入記や脚本家・古沢良太のロングインタビュー、歴史ギークの解説からお笑い芸人のレビューまで、『レジェンド&バタフライ』への理解が深まる読みものが全12回で掲載されている。スクリーンで鑑賞したら、ぜひたっぷり本作の世界に浸ってほしい。

イラスト・文/辛酸なめ子

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