南沙良、20歳の躍進を語る「プレッシャーを感じたり、壁にぶち当たったりすることなく、お芝居をただただ楽しんでいる」
「新しいことを始めるのが大好きなので、なんでも挑戦したい」
ドラマ「女神の教室~リーガル青春白書~」では周りにも自分にも厳しいロースクール生の照井雪乃を演じたが、この役に関しても「普段使わない法律の専門用語が多いので、セリフを覚えるのに時間がかかったけれど、実際の生活ではあんなに堂々とした振る舞いはできないから、気持ちよかったですね」と語り、「自分じゃない誰かになれている瞬間、自分のことを考えずに済む瞬間がお芝居の魅力ですね」と喜びを噛みしめる。
そんな終始堂々とした発言を続けていた南だが、日本語吹替版キャストとして参加する『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』(公開中)の話をした時にはピュアな笑顔を見せた。本作は、中世ヨーロッパを彷彿させる世界を舞台に、盗賊のエドガンと相棒の戦士ホルガがある目的のためにただならぬ敵と戦い、立ちはだかる困難を乗り越えていく姿を描いた冒険ファンタジー。
南は主人公・エドガンの仲間で、いろいろな動物に変身できるドリックの声を担当したが、「もともとアニメが大好きですし、すごく好きな声優さんたちが参加されていたので、恐縮しました。恥ずかしかったですね」と言って顔をほんのり赤くする。今回は1人ずつ声を収録したようで、「そのようなアフレコでよかったです。本当に声優のみなさんが大好きなので、なかでも魔法使いのサイモンの声を担当される木村昴さんが大好きです…現場で一緒になっていたら、緊張しちゃってどうにもならなかったと思います(笑)」と、この時ばかりは1人のファンの顔になっていたのがかわいらしい。
それでも、仕事の現場を心から楽しむ南のスタンスは一貫していて、話題の「JR SKISKI」のCMで見せる彼女の笑顔やいつになくハイテンションな身のこなしからもそれが伝わってくる。「北海道で撮影したんですけど、雪山に行ったこともなかったし、スキーも初めてだったんです。すごく楽しくて、あの笑顔は素です」と笑いながら、「スキーってけっこう難しいんですね。でも、最後はちゃんと滑れました。私はわりと、やればできるタイプなのかもしれません」と胸を張る。
「なので、やったことのない役なら本当にどんな役でもやりたいという想いがありますし、新しいことを始めるのが大好きなので、なんでも挑戦したいという想いがあります」といまの素直な気持ちを言葉にした南。そこで、最近新しく挑戦したことは?と尋ねると、「先日、群馬県で40mの高さのバンジージャンプをやってきました!」という思いがけない答えが返ってきた。「ずっとやりたいと思っていたんですけど、すごく楽しかったです(笑)。次は、スカイダイビングにも挑戦してみたいです」。
どうやら、演じる役柄やアニメと漫画が好きという発言のせいで南のことを勝手にインドア派と決めつけてしまっていたが、本人はいたってアクティブ。「アクション映画もぜひやりたいです。戦いたいです。“戦う”のが大好きなので(笑)」と意欲的な表情を見せ、加えて「ギターがもともと好きで、ずっとやっていたんですけど、母の影響で最近始めたウクレレもすごくおもしろいです」と語り、さらに違う顔も覗かせる。ひょっとしたら、南沙良のことを本当は誰も知らないのかもしれない。本人も自分の内に眠る能力にまだ気づいていないのかもしれない。全方位に興味のアンテナを張っている彼女の前には、イメージに縛られない無限の可能性が広がっている。
取材・文/イソガイマサト