『聖闘士星矢 The Beginning』プロデューサーが語る、原作愛あふれる実写化への想い。新田真剣佑は「完璧なキャスティング」
「キャストは皆さん人気者なので、スケジュールを確保するのも大変でした」
アルマン・キド役のビーンは、長い間ラブコールを送り続けて実現したキャスティングだったという。「(原作においてアルマン・キドに相当する)城戸光政は一本気なキャラクター。過去の自分の行いに対し贖罪をし続けている、イギリス紳士のようなイメージがあり、浮かんだのがショーン・ビーンさんでした。
ご本人は『また死ぬキャラクターなのかな』なんて冗談を言っていましたが、彼が演じるキャラクターの“死”が注目されるのは、その存在感が大きいからこそ。その人が目の前から消えたことで、残された側の人生やその後の歴史に影響を与えるという役どころという意味でも、アルマン役はピッタリだと思っています。シエナの心のなかに生き続けるキャラクターですし、ある意味では『スター・ウォーズ』でのオビ=ワン・ケノービのような立ち位置ですね、と話したりもしました」と、ビーンとのやりとりも明かした。
アルマンの元妻ヴァンダー・グラード(ファムケ・ヤンセン)の設定については、「原作に登場するグラード財団の総帥は城戸光政なのに、なぜ『グラード』という名前なのか」と車田プロダクションのご担当者と話していました。世界観を掘り下げるため、ビジネスパートナーという設定でグラードを登場させたのですが、脚本のキール・マーレイから出た『女性だったら?』というアイデアに基づき、元夫妻がやっていた財団という設定になりました。娘シエナへの想いを口にするシーンの撮影でショーンとファムケの化学反応を体感し、元夫妻の設定にしてよかったと思いました」と、原作を掘り下げたアレンジの成功に笑みを浮かべる。
戦いの女神アテナの生まれ変わりとされるシエナ役を演じたのは、「ジュマンジ」シリーズなどで活躍する気鋭の若手女優、マディソン・アイズマン。「海外版の予告は、シエナのセリフから始まります。自身の内側に秘められた強大な女神のパワーが起こす世界滅亡の光景を、毎夜夢に見るというキャラクターで悩み苦しんでいます。マディソン自身もインポスターシンドローム(仕事において成功しているにもかかわらず、自分を過小評価してしまう心理傾向)を感じており、共感できる部分があるという話をしていました。それが演技にもよく反映されていて、シエナのキャスティングについても大満足です」とニッコリ。
シエナの母、グラードと共にシエナの行方を追う謎多き男ネロ役のディエゴ・ティノコに関しては衣装の裏話も。「キャストは皆さん人気者なので、スケジュールを確保するのも大変でした。聖衣(鎧)を作るにはすごくたくさんのプロセスがあるのですが、ディエゴは最後のぎりぎりでスケジュールが決まったので、軽い素材で作る時間もなくて。聖衣がかなり重いものになってしまい、すごい汗をかきながら撮影をしていただきました。頑張ってくださったので“とても重い聖衣(鎧)”と明記しておいてください(笑)」。