『聖闘士星矢 The Beginning』プロデューサーが語る、原作愛あふれる実写化への想い。新田真剣佑は「完璧なキャスティング」
「『星矢ってなんだろう?』という問いが、『The Beginning』に行き着いたきっかけ」
短編デビュー作『Tha Cathedral』(02)で米アカデミー短編アニメーション賞にノミネート、SIGGRAPH2002においては最優秀短編アニメ賞を受賞しているトメック・バギンスキー監督については、「映画全体とそのなかの本質を見極めることができる方」と絶賛。「自分でCG/ゲームスタジオを立ち上げているので、クリエイティブ工程に関しても理解があると感じました。なによりコミュニケーションがすごく上手で、誰とでも親しくなれるんです。トメックを尊敬する人が集まった現場だったことが、本作の撮影がうまくいったポイントの一つだと思います」。
バギンスキー監督のもとに集まったスタッフは「聖闘士星矢」愛も強かったそう。実に22稿にまで及んだシナリオのなかには、「ファンにしか通じない」というマニアックなものもあったという。「そこでトメックの客観的な見方がすごく役に立ちました。みんな愛が強くて、キャラクターをたくさん出したくなるんですよね。でも、彼が冷静に『どのキャラクターの、なにを伝えたいのか』と提示してくれたことが、『星矢ってなんだろう』という今回のテーマ、『The Beginning』に行き着いたきっかけです」と脚本打ち合わせにも触れ、日本版のタイトルが『聖闘士星矢 The Beginning』になった背景を説明。「原作を知っている方は、この先あの原作にどうつながっていくのかがわかると思うんです。そこがまさに今回我々の目指していたところ。星矢とシエナの話にしたことで、『次は誰が出るんだろう』とワクワクしてもらえるという期待を込めました」。
原作を愛するスタッフが集まった撮影現場の印象を、「ポジティブ」と話した池澤。「ロケ地のハンガリーはハリウッドのアクション映画を多く撮影する場所です。予定していたロケ地が急に使えなくなっても、代替案がすぐに出てくる。しかも、それが予定していたものよりも良いものだったりもして、ラッキーが重なることもありました。現場を熟知している現地のチームと一緒に作品づくりができたことは非常に光栄。コロナ禍の影響や怪我の懸念とも隣り合わせの現場でしたが、流れている空気はずっとポジティブでした」と充実の撮影を振り返った。