どのロゴが好き?2023年4月4日に創立100周年を迎えたワーナー・ブラザースのロゴの変遷を追う!
「B」の文字が消える…他社の買収により劇的に変化!
そんななか、1950年代からハリウッドでスタジオシステムが崩壊し始めたこともあり、会社の経営状況が芳しくなくなったワーナーは、1967年にカナダ人投資家ハイマン兄弟が経営するセヴン・アーツ・プロダクションズと合併。社名がワーナー・ブラザース=セヴン・アーツとなったのを機にロゴも一新され、盾の中にワーナーの「W」とセヴン・アーツの「7」が一体化したデザインが載せられたシンプルなものになった。
『ブリット』(68)などで見られるこのロゴだが、1969年にスティーブ・ロス率いるキニー・ナショナル・カンパニーにワーナー・ブラザース=セヴン・アーツが買収されたため、1970年には別のものに差し替えられ短命に終わった。
この事情から再び一新されたキニー・ナショナル・カンパニー版のロゴは、青の背景、WBの文字が復活した金で縁取られた赤の盾、その上に「A KINNEY NATIONAL COMPANY」と社名が刻まれたバナーというあまり工夫のないデザインだった。
その後、1972年にキニー・ナショナル・カンパニーのスキャンダル絡みから、ワーナー・コミュニケーションズへ改名すると、ロゴも以前のようなおなじみのものへとカムバックを果たした。
名デザイナー、ソール・バスが手掛けたロゴはいまでも根強い人気
このまま落ち着くのかと思いきや、このロゴはその場しのぎの応急処置だったようで、1973年に細長い棒2つと丸1つで「W」の文字を表現した、モダンかつスタイリッシュでインパクト抜群のロゴが誕生。これは『めまい』(58)や『北北西に進路を取れ』(59)などのタイトルデザインで知られるソール・バスによるもの。
映画部門では1984年まで使用されたこのロゴは、いまなおワーナー・ミュージック・グループのロゴとして使用されているほか、ベン・アフレックの『アルゴ』(12)や、70~80年代を彷彿させた『ジョーカー』(19)、スティーブン・ソダーバーグの「マジック・マイク」シリーズなど、近年の作品でも好んで使われていることが示すように、名作と呼ぶにふさわしい出来ばえだ。
2020年にはクラシックだが現代的なロゴに
1984年には再び、雲を敷いた背景に金縁の青盾という往年のスタイルへと戻り、社名や技術の革新に伴う質感の変化などマイナーチェンジを繰り返しつつも、長きにわたってワーナーの象徴として君臨。
もう一生このロゴかと思っていた2020年、初期を思わすような縦長のシールドのデザインへと突如としてチェンジ。色も風合いの異なる青に変わり、クラシックだが現代的なロゴへの進化は映画ファンを驚かせた。
今回変遷をたどったベースモデルから派生した、映画のテイストが反映されたパターンも多く、盾がバットマンマークにトランスフォームする『バットマン・フォーエヴァー』(95)、緑色に輝く「マトリックス」シリーズ、ギンギラギンにデコレーションされた『エルヴィス』(22)など、そのバリエーションはすさまじい数に及ぶ。
100年という歴史のなかで様々な事情から移り変わってきたワーナーのロゴには、会社や作り手のこだわり、遊び心が込められているので、旧作、新作問わず、今後ワーナー作品を観る際には、ぜひロゴにも注目してみてほしい。
文/サンクレイオ翼