HiHi Jets作間龍斗、衝撃作『ヴィレッジ』でキラリと光る役者としての存在感
藤井監督が想いを託す!『ヴィレッジ』での作間の挑戦と果たした役割
このように様々なクセのある役柄を演じ、役者として成長著しい作間の2作目となる出演映画が『ヴィレッジ』だ。
舞台となる霞門村はかやぶき屋根の家屋が建つひなびた山間の集落だが、麓から山頂を眺めるとそこにはのどかな風景にはおよそ似つかわしくないゴミ処理施設がそびえ建っている。その施設で働くのが本作の主人公である片山優(横浜)。過去に身内が起こした事件の汚名を背負い、不寛容な村人たちの同調圧力によって虐げられる日々を送っていたが、都会になじめずに戻ってきた幼なじみの美咲(黒木華)の存在によって自分の居場所を見出していく。
作間が演じたのは、優の生きる希望となった美咲の弟である恵一。生前、『ひらいて』を観た河村プロデューサーが彼を大絶賛していたことが本作の出演につながった。人付き合いが苦手で思ったことをなかなか伝えることができない恵一は、現代の縮図ともいえるムラ社会において搾取される側に属する“持たざる者”だ。
駆け引きのできない純朴な恵一は後に村を揺るがす事件の発端となるのだが、この難役を演じるにあたり、作間は「セリフではなく、表情で語るというシーンが多かったのでとても難しかったです。台本をもらった時から難しさは感じていましたが、あえて作り込まず、監督を信じて現場に入って体当たりで演じました」と、この役が俳優としての新たな挑戦であったことを語っている。
さらに今回、起伏の激しい波乱に満ちた人生を駆け抜ける主人公を体現した横浜の魂の演技に魅了された彼は、自身の撮影終了後も居残って横浜の撮影を見守った。その真摯な態度に信頼を寄せた藤井監督は、あるシーンを急遽追加し、本作にかけた監督の想いを作間による恵一に託したのだという。
社会構造の歪みを浮き彫りにするヒューマンサスペンス『ヴィレッジ』で監督のメッセージを伝える重要な役どころを担った作間。無限大の可能性を秘めた彼の今後の活躍が楽しみだ。
※高橋優斗の「高」は、はしごだか
文/足立美由紀