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十味&まるぴにインタビュー!『放課後アングラーライフ』撮影を通して築いた“特別な関係”

インタビュー

十味&まるぴにインタビュー!『放課後アングラーライフ』撮影を通して築いた“特別な関係”

「女優さんは、人生を豊かにするお仕事」(まるぴ)

――お芝居はもちろん、劇中では海釣りなどにも挑戦されました。ご自身のなかで、本作を通して「もっともチャレンジしたな」と感じるのはどのようなことでしょうか。

女優業への意欲を明かした十味
女優業への意欲を明かした十味撮影/興梠真穂

十味「クライマックスのシーンで、“めざしが涙を流しながら、自分の気持ちをぶつける”という場面があります。私はこれまでの演技レッスンのなかでも、涙を流すということがずっとできなかったんです。さらにそのシーンは『長回しで撮る』と聞いて、セリフ量もあるし、長回しで失敗せずに演じきることができるんだろうか…と本番前にものすごくプレッシャーを感じていました。『練習では一度も泣けたことがないので、不安です』と相談したら、城定監督は『泣こうとせずに、感情を出してほしい』と言ってくださって。そのシーンは、撮影の最後のほうに撮ったんですが、監督の言葉を信じて挑んでみたら、自然といろいろな感情が浮かんできて、涙が流れたんです。初めて、お芝居で涙を流すことができた。とても不思議な体験で、びっくりしました」

――貴重な経験ができた作品になりましたね。

十味「本当にそう思います。完成作を観たら、もっと深掘りできたなと思うことや、課題もたくさん見つかって。今回、映画を撮るということが、どのような段階を踏んで進んでいくかを学ぶことができたので、次に活かすことができたらうれしいなと思っています。これからも女優さんのお仕事は、前向きにやっていきたいなと思っています」

まるぴ「あのクライマックスのシーンは、本当にすごかったですね。椎羅としてそこにいる私も、涙を堪えるのに必死でした」

お互いに刺激し、励まし合いながら撮影を乗り越えた
お互いに刺激し、励まし合いながら撮影を乗り越えた撮影/興梠真穂

十味「椎羅ちゃんも、泣きそうになっている!という空気を感じていました。『アングラ女子会』の3人がそばにいてくれたからこそ、気持ちを動かされたんだと思います」

まるぴ「私にとって一番のチャレンジだったのは、関西弁かなと思います。とても苦戦した部分でもあるんですが、映画を観ていただいた方に『演じている』と思われないようにしたいなと思っていました。『すごい!』と言っていただけるように、『やってやろう!』というチャレンジ精神で向かっていきました。女優さんは、そういったチャレンジができたり、人生経験が豊かになったりするお仕事だなと感じています。まるぴならば、まるぴだけの人生しか生きられないし、高校生活も一度しか送れないけれど、今回は2度目の高校生活を経験することができました。これからいろいろな役を演じることで、いくつもの人生をたどり、自分自身も豊かな経験ができるのではないかと思っています。これからもっと、挑戦していきたいなと感じています」

「応援してくれる皆さんのおかげで、笑顔になれました」(十味)

――いじめられた経験によって、友だちを作ることにも後ろ向きだっためざしが、仲間との出会いを通して殻を破っていく姿がとてもまぶしかったです。お2人にとって「この時、自分の殻を破ることができた」と思うようなご経験がありましたら、教えてください。


OLを卒業した当時の心境を語ったまるぴ
OLを卒業した当時の心境を語ったまるぴ撮影/興梠真穂

十味「私はなかなか友だちを作ることもできなかったんですが、(ニコニコ動画の)“踊ってみた”のダンス動画をネットにあげたことをきっかけに、ネットを通して世界とつながれたという感覚になったことがあります。自分を発散させることができていないなと感じている時期だったので、自分を表現できる世界があるんだと思うととてもうれしかったです。当時まだ15歳で、そんなに深く考えずに『誰も観ないだろう』くらいの気持ちでアップしたんですが、それをやっていなかったらいまの事務所にも見つけてもらえなかったので、本当にやってよかったなと思っています」

――それをきっかけに、どんどん世界が広がったのですね。

十味「芸能活動を始めてからも、最初はとても苦労しました。私は人前で笑顔になることが、とても苦手で…。『私が笑うことで、その場が気まずい空気になってしまったらどうしよう』と考えてしまうこともあって、ものすごく苦手意識がありました。でも応援してくれる皆さんが、『十味ちゃんの笑っている顔が好き』と言ってくださって、少しずつ自分に自信を持つことができるようになりました。デビュー当時の笑顔は、ものすごく硬かったと思います(苦笑)」

まるぴ「私は、OLと芸能活動を両立していたところ、『芸能活動1本でやっていこう』と決めたことが、一番自分の殻を破れた出来事かなと思っています。私には『大人になったら、企業に勤めてしっかりと働かなければいけない』という謎の固定概念があって、思えば、自分から思い切ったチャレンジをしたことがなかったんです。そんななか、初めて自分の意志でチャレンジを決意したのが、OLを卒業して、芸能活動に絞るということ。もちろん、その決断には勇気もいりました。周りに『こうしたほうがいい』と言われたことを正解だと思ってしまっていたところがあったものが、初めて自分のやりたいことに気づけたんです。自分で選んだ道だからこそ、失敗してもそれは自分の責任。そういった責任を負いつつ、反省もしながら前に進んでいけることは、とても楽しいことだなと思っています。やっぱりなにかに熱中するって、とてもステキなことですよね。本作のめざしちゃんや、椎羅を見ていても、心からそう思いました」

取材・文/成田おり枝

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