ヒーローたちのマスクは硬い?柔らかい?造形美術監督がフラッシュ、バットマンのコスチュームのこだわりを明かす

インタビュー

ヒーローたちのマスクは硬い?柔らかい?造形美術監督がフラッシュ、バットマンのコスチュームのこだわりを明かす

「コスチュームはカスタムメイド。我々の仕事は究極の仕立て屋」

多くのアクションシーンが盛り込まれた本作。精密なクローズアップ用と簡易的なアクション用など、何種類かのマスクを用意したのか?と聞くと「ノー」という答え。「伝統的なアプローチだと、シーンによって精巧さや動きやすさに特化したマスクを用意します。でも私はその両方を兼ね備えるのがベストだと思っていて、物理的に不可能な場合を除き、このアプローチを貫いています。今回もエズラ・ミラーのマスクのほかにスタントダブル用をいくつかのマスクを作りましたが、それらは目の位置や顔の形状を少し変えただけ。エズラは頬骨が少し高いですからね。つまりどのシーンのフラッシュも同じデザインや構造になっています」とボハナ。コスチュームの制作は、エズラの顔と全身をボディスキャンしてそれに合わせて行ったという。「完全なカスタムメイドです。我々の仕事は究極の仕立て屋というわけです」と笑う。

フラッシュが過去を改変したことが世界崩壊の危機を招く
フラッシュが過去を改変したことが世界崩壊の危機を招く[c]2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved [c] & TM DC


「バットスーツのこだわりは首」

ジャスティス・リーグを結成し、フラッシュをリクルートしたバットマン(ベン・アフレック)は、本作でもバットスーツに身を包み大活躍した。「バットスーツは、フラッシュのスーツを作ったウェイン産業が作っているので、同じテクノロジーを使っていることを前提に考えました。『ジャスティス・リーグ』の時はステッペンウルフとの戦いを視野に大きめのシルエットでしたが、今回はブルースの体型にフィットするデザインに変えています。演じるベン本人の体に、装備というレイヤーを積み重ねていくようにしたんです。このアプローチをベンは喜んでくれたし、装備によって威圧感が増していくのはバットマンの原点だと思います」。

そして本作には、もう一人のバットマンが登場する。このバットマンを演じたのは、ティム・バートンが監督した『バットマン』(89)に主演したマイケル・キートンだ。“レジェンド”のバットスーツのデザインについてボハナは「マイケルの世界におけるバットマンはどうあるべきかを考えた」という。そして究極のキートン版バットスーツを生みだした。「年齢を重ね引退しているという設定なので、マイケルのコスチュームは現役時代の最後に着ていたバットスーツ。改良を重ねながら進化を続けた、“最終版”ということを意識しました。そんな設定にしたおかげで、歴代スーツがずらりと並んだ最高のシーンが生まれることになったんです」と目を細める。

バットスーツの首のフォルムにはボハナのこだわりが詰まっている
バットスーツの首のフォルムにはボハナのこだわりが詰まっている[c]2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved [c] & TM DC

「バットマンはシルエットが肝心なキャラクター」と考えるボハナは、バットスーツ作りの難しさを見た目と動きの両立だという。「特に“首問題”にはいつも頭を悩ませています。振返るなど顔の向きを変えるとマスク全体が引っ張られるので、不自然なシワができてしまうんです。それを避けるため、新しい素材に目を光らせたり構造を考え直したり。フラッシュのスーツもそうですが、今回の撮影は新型コロナウイルスの影響もあって自由に素材を入手するのが困難でした」と回想。デザインと実用性の両立を信条とする彼は、いつも以上に頭を働かせたという。「美しいデザインと機能性、そしてスケジュールどおりに完成させること。そのバランスをとるのは大変でしたが、首元を2枚重ねにし、糸で首元を引っぱるなど工夫をして結果的にはいいものができたと思います」と悪戦苦闘の日々を語ってくれた。

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