検証!MCU第一線を退いていた映画ファンは「アントマン」最新作でリベンジできるのか?
「共感しやすさ、親しみやすさがアントマンの魅力なんですね」(山下)
山下「この映画で久しぶりにMCU作品を観ましたが、アベンジャーズがサノスを倒した『エンドゲーム』後の世界が舞台でしたね。そのあたりまでの記憶はあったので、結構入りやすかったです。アントマンことスコット・ラング(ポール・ラッド)たちの日常から物語が始まって、スコットの娘キャシー(キャスリン・ニュートン)が量子世界へ信号を送る装置を開発し、その実験中の事故によって彼らがミクロの世界へ引き込まれてしまう…。これまでの『アントマン』シリーズでは、日常の延長線上でヴィランとの戦いが繰り広げられていたけれど、今回は量子世界を冒険するアドベンチャー色が強かったですね」
別所「アントマンのキャラクターについて最低限把握していれば、必ずしも過去作を観ておかないといけないということもなかったと思います。ここから遡ってもよさそうですし。私は“親愛なる隣人”ことスパイダーマンが一番好きなマーベルヒーローなのですが、アントマンも、演じるポール・ラッドのどこにでもいそうな人柄のキャラクターもあってか、すごく親しみを感じています。ヒーロー活動もするし、家族について悩むところもいいですよね!」
石井「僕にもキャシーと歳が近い娘がいるので、スコットには共感できるところが多いです。親子の絆がテーマになっているところなど、MCUのなかではずば抜けてファミリー向けの作品ですよね。第1作でダメなお父さんというところからスタートして、アントマンになったことでヒーローとして、父親として成長していくところがしっかりと描かれてきました。キャシーのために行動するところは常に一貫していて、その想いにはすごく感動させられます」
山下「共感しやすさ、親しみやすさがアントマンの魅力なんですね。あと、巨大化もするものの、基本的に小さくなって戦うところもカッコいいです。『小さいからってなめるなよ!』みたいな」
「『アントマン&ワスプ:クアントマニア』には今後のMCUの展開を占う要素も散りばめられている」(石井)
別所「ネタバレになるので詳細は話せないですが、本作で言うところのバスキン・ロビンス(サーティーワン)のくだりとか、ユーモアを忘れないところもいいですね」
石井「シリアスなエピソードもありますが、ポジティブさを捨てずにいつも観る側を笑わせてくれますよね。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でほかのヒーローたちがガチで戦っているなかで、『俺、キャプテン・アメリカと一緒に戦ったんだよね!』と誇らしげに言ってしまうところも愛おしい(笑)」
別所「一方で、今回はスーツのパワーに頼らないでボロボロになりながら肉弾戦を繰り広げる描写もあって。家族を守るために体を張る姿にはグッときました」
石井「スコット・ラングというキャラクターの深みもどんどん増してきていますね。あと、キャシーもスーツを着て戦いますが、彼女は原作だと“ニューアベンジャーズ”というグループのメンバーでもあります。ドラマだと『ホークアイ』のケイト・ビショップや『ミズ・マーベル』のカマラ・カーンら次世代ヒーローが次々と登場していますが、そういった若者世代の活躍が映画で本格的に描かれるのは今回が初めてですよね。メインヴィランで過去、現在、未来のすべてを支配する征服者カーン(ジョナサン・メジャース)は、2026年公開予定の『Avengers: The Kang Dynasty』のタイトルにもなっていますし、彼はサノスのような今後のシリーズを追ううえでの羅針盤のようなキャラクターにもなっていくと思います。このように、今後の展開を占う要素も散りばめられているので、一度離れてしまった人にも、本作からMCUに戻ってきてほしいです!」
山下「個人的にですが、いままではアントマンって好きなヒーローのベスト5に入って来るような強い印象のキャラクターではなかったんです。でも、本作での活躍やこれからのシリーズ展開のことを考えるとかなり重要なキャラクターになりそうですね」