ボリウッドって何語映画?トリウッドがアツい!?インドの映画産業を言語と場所別におさらい
近年の勢いがすさまじい”トリウッド”
インドの映画産業でボリウッドと同等の規模を誇る”トリウッド”。南インド・テランガーナ州に拠点を置くテルグ語映画産業で、州都ハイデラバードには、世界最大のスタジオとしてギネス認定されたラモジ・フィルムシティやスタジオがいくつか軒を構えるフィルムナガル地区が存在する。
トリウッドは平たく言うならば、商業的スタンスを貫いたエンタメ大作が特徴で、男性中心の作品が多く、過激な描写が飛び出すこともしばしば。最新技術をふんだんに使ったブロックバスタームービーを、テルグ語以外の多言語で同時公開する“汎インド映画”スタイルも近年は盛んで、ボリウッドを上回る勢いを見せている。
このブームを象徴するキーパーソンがS・S・ラージャマウリ監督。インド映画の国内最高興収を上げた「バーフバリ」シリーズや世界的に高い評価を受けた『RRR』といったCGを駆使したスペクタクルな英雄叙事詩を次々と作り上げており、その名を耳にしたことがある人も多いはず。
また『RRR』のラーム・チャランが主演した2018年の『ランガスタラム』が7月14日(金)から日本で公開となり、少し前の作品が遡ってフックアップされることからもその注目度の高さがうかがえる。
本作は1980年代半ばのアーンドラ・プラデーシュ州(かつてはテランガーナ州もこの一部だった)の田園地帯を舞台にした人間ドラマ。金貸しの村長に牛耳られるランガスタラム村で、貧しくも陽気に生きてきた村人のチッティ(ラーム)が、ある事件をきっかけに悪党たちへ復讐心を滾らせていく。エンタメのなかにも階級社会や抑圧といった問題を盛り込んだこの意欲作は、2018年の最高興収を記録したテルグ語映画だけにファンはチェックしておきたい。
ちなみにトリウッドは、インド東に位置する西ベンガル・トリガンジで作られていたベンガル語の映画産業を指す言葉でもある。西ベンガル映画は『大地のうた』(55)、『大河のうた』(55)、『大樹のうた』(59)のオプー三部作で知られるサタジット・レイ監督など、ほかのインド映画とは一線を画す芸術性の高い作品で、1950〜70年代に黄金時代を築いた。