ボリウッドって何語映画?トリウッドがアツい!?インドの映画産業を言語と場所別におさらい
今年日本に初上陸した”ゴリウッド”
今年、日本で初めて作品が一般公開され話題を集めたのが、グジャラート語による映画産業“ゴリウッド”だ。グジャラート州を拠点とするゴリウッドは産業があまり大きくないこともあり、生活に寄り添うようなドラマやコメディが多く作られているという。
今年1月に日本公開され、7月5日からソフトが発売となった『エンドロールのつづき』(21)は、チャイ売りの少年が映画と出会い、やがて世界で活躍する映画監督になるという、メガホンを握ったパン・ナリン監督自身の実話をベースにしたヒューマンドラマ。
学校に通いながら父のチャイ店を手伝う9歳の少年サマイは、初めて劇場で観た映画にすっかり魅了されて以降、料理上手な母が作る弁当と引き換えに映写室から映画を観せてもらう日々を送る。そしてしだいに「映画を作りたい」という夢を抱き始めるが…という夢の物語が、貧困やカーストなどの社会問題と共に紡がれていく。
インド版『ニュー・シネマ・パラダイス』として、アカデミー賞国際長編映画賞インド代表に選出されたほか、バリャドリード国際映画祭では最高賞にあたるゴールデンスパイク賞をインド映画として初めて受賞するなど大きな話題を集めた本作。歌や踊りもなく、いい意味でインド映画のイメージを払拭していると言えそう。
今回紹介したもの以外にも、年間製作本数が2桁に及ばないトゥル語圏の“コースタルウッド”、長らく作品が作られない期間もあったチャッティースガリー語の“チョリウッド”、“ハリウッド(Harywood)”と呼ばれるハリヤーンウィー語映画界、ボージュプリー語で製作される“ボージウッド”など、枚挙に暇がないほど多くの映画産業が乱立するインド。最近ではそれほど違いないと言われつつも、土地それぞれでユニークな作品を生みだしており、近年のインド映画ブームによってマイナーな言語の作品も日本に入ってきている。言語や場所に注目して観てみれば、より作品を深く理解できるかもしれない。
文/サンクレイオ翼