ボリウッドって何語映画?トリウッドがアツい!?インドの映画産業を言語と場所別におさらい
日本のインド映画ブームを作りだした”コリウッド”
もう1つの代表格が、中心地コダンバッカムにちなんで“コリウッド”と呼ばる南インド・チェンナイを中心とするタミル語映画産業。ボリウッドやトリウッドとあまり差がなくアクション、ロマンス、コメディ、ミュージカルまでなんでもありのいわゆる“マサラムービー”だが、強いて言うなら土着性があり、暴力描写も厭わない作品が多い。
そんなコリウッドのなかでも日本で有名な作品といえば、日本興収4億円を稼ぎ出し『RRR』に抜かれるまで、日本において最も稼いだインド映画として長らく君臨した『ムトゥ 踊るマハラジャ』(95)。主演のラジニカーントはコリウッドを代表する別格の大スターで、世界興収100億円を叩き出したSFアクション『ロボット』(10)など大ヒット作を定期的に生みだしている。
また近年のトップスターがヴィジャイで、7月13日まで開催中の「インディアンムービーウィーク2023パート1」では『サルカール 1票の革命』(18)、『ビギル 勝利のホイッスル』(19)といった主演作が特集されている。
異質な存在として注目作を生みだす”モリウッド”
4番手的な立ち位置にいるのが、ケーララ州南部のコーチやティルヴァナンタプラムを拠点とするマラヤーラム語映画産業の“モリウッド”だ。
マラヤーラム語圏のケーララ州は識字率がほぼ100%で、出版業が盛んな比較的リベラルな土地。加えて他言語と比べて話者も3600万人程度と少なめのため、いわゆる大作とは一線を画した現実的かつ文芸的な作品が多い異質な存在だ。
食用水牛が逃げだしたことを発端に人間のあらゆる欲望が明るみになっていく『ジャッリカットゥ 牛の怒り』(19)は、世界中の映画祭で賞を受賞するなど高く評価され話題に。また、中産階級に潜むミソジニーを題材とした『グレート・インディアン・キッチン』(21)など、切れ味鋭い作品も多い注目の存在だ。