少女が言う「大嫌い…」の言葉の矛先は…『アリスとテレスのまぼろし工場』中島みゆきの主題歌入り本予告
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」などの人気脚本家で、監督デビュー作『さよならの朝に約束の花をかざろう』(18)が国内外から高い評価を得た岡田麿里監督最新作のオリジナル劇場アニメーション映画『アリスとテレスのまぼろし工場』が9月15日(金)より公開される。このたび本作の予告映像と、中島みゆきによる主題歌の音源が解禁された。
舞台は、突然起こった製鉄所の爆発事故によりすべての出口を失い、時まで止まってしまった町。いつか元に戻れるようにと、なにも変えてはいけないルールができ、鬱屈とした日々を過ごしていたなか、14歳の主人公、菊入正宗は、気になる存在の謎めいた同級生、佐上睦実に導かれ、製鉄所の第五高炉へと足を踏み入れる。そこにいたのは言葉を話せない、野生の狼のような少女、五実。2人の少女との出会いは、世界の均衡が崩れるはじまりだった。
主人公の正宗役を「呪術廻戦」で虎杖悠仁役の榎木淳弥が、正宗の同級生、睦実役を「SSSS.GRIDMAN」で新条アカネ役の上田麗奈が、謎の少女、五実役を「リコリス・リコイル」でクルミ役の久野美咲が演じるほか、正宗の父親で、製鉄所に勤める菊入昭宗役を瀬戸康史が、同じく製鉄所に勤め、正宗を気にかける叔父、菊入時宗役を林遣都が演じる。主題歌は、作品世界に惚れ込んだ中島みゆきが、初めてアニメーション映画に書き下ろした楽曲「心音(しんおん)」。ここから新たな未来を創り上げるエポックメイキングな作品が誕生する。
解禁された本予告映像は、「菊入正宗14歳。大嫌いな佐上睦実の手によって導かれる。囚われの少女へと」という正宗のモノローグから始まり、1人の少年と2人の少女たちが出会った瞬間が切り取られている。出口も失い、時まで止まった正宗たちが閉じ込められている町の遠景が映し出され、はかないくらいに美しい太陽の光に包まれた繊細な映像は、まさに“時が止まっている”ことを感じさせる。無邪気に走り回り、パンをほおばる謎の少女、五実の姿に一瞬なごまされるが、映像は一転、「俺は!」、「私たちは…意味ないのに!」と衝動的に叫びながら転がりまわる正宗と睦実の姿が映り、それを目撃していた五実の胸が張り裂けそうな「痛い…」という絶叫が響き渡る。
“その少女の心には決して触れてはならない”という、意味深な文字が映しだされ、重なるように中島みゆきの歌声が鳴り響く。「綺麗で醜い嘘たちを僕は此処で抱き留めながら」、「僕は本当の僕へと祈りのように叫ぶだろう」、「未来へ未来へ未来へ君だけで行(ゆ)け」という歌詞が、止められない衝動のように空を駆け巡り、地面に襲い掛かるすさまじい”煙”のうねりにかぶさり疾走感をあおっていく。そして、閉じ込められ変化することを禁じられた世界に対して、このままでいいのか?と、その衝動のままに駆け出していく少年少女たちを鼓舞し、うねりのような力強さが無数の光となって降り注ぎ、観るものの心に刺さる。
「届いた台本をおそるおそる読み始め、最後まで読み終わらないうちに、どっぷり、岡田麿里様のしもべとなっておりました」と本作の物語に心を動かされ、楽曲を書き下ろした中島。「心音(しんおん)」と名付けられた楽曲の歌詞には、「空は信じられるか風は信じられるか」、「味方だろうか悪意だろうか言葉を呑んだ」、「誰も触れない誰も問わない時は進まない」などの言葉が並び、台本からひも解いたストーリーを描写するそれらの歌詞からは、中島の本作への強い思いが伝わってくる。映像の最後には、消え入りそうな少女の声で「大嫌い…」という一言が聞こえるが、誰に向けて放たれた言葉なのか、“恋する衝動”を武器に、少年少女たちは未来へと駆け抜けることはできるのか?公開が待ちきれない映像になっている。