大沢たかお、『沈黙の艦隊』完成披露に駆けつけた防衛省、海上自衛隊関係者に感謝!「『いまこそやるべき』と後押ししてくれた」
かわぐちかいじによる人気コミックを実写映画化した『沈黙の艦隊』(9月29日公開)の完成披露舞台挨拶が8月24日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、大沢たかお、玉木宏、ユースケ・サンタマリア、中村蒼、中村倫也、水川あさみ、笹野高史、夏川結衣、江口洋介、吉野耕平監督、Amazon スタジオのダナエ・コキノスが登壇した。
原作は、1988年から1996年まで週刊漫画雑誌「モーニング」(講談社)にて連載され、累計発行部数3200万部(紙・電子)を誇る人気コミック。日本初の原子力潜水艦が日米共同で極秘裏に建造されたことをきっかけに始まる物語で、核戦争や国際政治、世界平和など鋭くも真摯な問題提起がなされ、連載当時には国会でも話題になるなど社会現象を巻き起こした。
日本で初めて海上自衛隊、潜水艦部隊の映画撮影協力を得て、実際の潜水艦を使用しているという本作。この日の会場には、浜田靖一防衛大臣や海上自衛隊の人々も駆けつけた。日本初の原子力潜水艦に核を積み、反乱逃亡する海江田四郎役として主演を務め、プロデューサーも担当した大沢は「この作品は、防衛省、海上自衛隊の協力なくしては、到底完成することができなかったと心から思っています。初めて『映画化したい』とご相談するためにお邪魔した時に、『いまだからやるべきじゃないか』と笑顔で後押ししていただいた」とさまざまな形で映画づくりを支えてくれた人々に感謝しきり。「今日この会場に来ていただいたこと、そして初めて作品を観ていただくことは、うれしい反面、ちょっと緊張や不安もありますが、我々が精一杯に力を込めてつくった作品を観ていただければうれしいです。ご来場いただき、ありがとうございます」と語りかけていた。
また海江田という役柄については、「世の中ではテロリストと言われる形になりますが、彼は彼なりにいろいろな問題を抱えていて、それをなんとか突破するために彼の道を歩みだしたと理解しています」と分析した大沢。「主人公ではありますが、みんなになにかに気づいてもらうためのきっかけとなるような役。周りにいるみんなの成長物語だと思っています。観ていただいた方にも、海江田はいろいろな問題、疑問を投げかけると思う。皆さんにもなにかを感じていただけたらうれしい」と語っていた。
逃亡した海江田を追う海自ディーゼル潜水艦艦長の深町洋役を演じる玉木は、「潜水艦は、大変な空間。撮影で擬似体験していても、閉塞的な空間。撮影の合間には外に出て、みんなで談笑した。いいチーム感が生まれる時間だった」と撮影の様子を回顧。玉木が潜水艦の登場する映画に出演するのは、『真夏のオリオン』(09)、『空母いぶき』(19)に続いて「今回で3作目」だという。「なかなか俳優のなかでもいないと思うんですが」と目尻を下げながら、「毎回、いいチーム感がなければ乗り越えられない環境だと感じます。今回もユースケさんや水川さんに助けられた」と共演者にお礼を述べていた。
大沢と玉木はライバル関係を演じたが、それぞれのキャラクターが乗っている潜水艦が違うために、撮影で一緒に過ごせたのは1日だけだったのだとか。舞台挨拶の前に行われた完成報告会では、声だけで会話するシーンを振り返った大沢が「そういった場合、通常はスタッフや録音で対応するんですが、玉木くんに呼び出されまして」とお茶目にニッコリ。玉木は「呼び出してはいないんですが」と笑いながら、「大沢さんがわざわざ足を運んでくださって、声で付き合ってくれました。(録音ではなくて)大沢さんの生のお芝居で合わせていただくと、非常に緊迫感が上がる。それが画にも表れてくる。すごく助かりました」と息ぴったりにトークを繰り広げるひと幕もあった。
それぞれが完成作に自信をのぞかせていたが、中村倫也も「予想を超えた興奮が体感できると思います」とキッパリ。最後に大沢は「“たかが映画”なんですが、僕はいつも“されど映画”なんだと、いろいろな想いを込めて作品をつくるようにしています。この作品が願わくば、日本の、そして世界の次の子どもたちのよりよい未来になる、一つのきっかけになればすごくうれしく思っています」と熱を込め、大きな拍手を浴びていた。
取材・文/成田おり枝