純度200%の岡田麿里ワールド『アリスとテレスのまぼろし工場』を映画ファンはどう観た?「恋って激しく強くやるせない」「ラストシーンは涙が出てきた」

コラム

純度200%の岡田麿里ワールド『アリスとテレスのまぼろし工場』を映画ファンはどう観た?「恋って激しく強くやるせない」「ラストシーンは涙が出てきた」

MAPPAの“神作画”が岡田麿里ワールドをさらに引き立てる!

本作のアニメーション制作を務めたのは、記録的なロングラン上映で話題を集めた『この世界の片隅に』(16)や、興行収入138億円のメガヒットを記録した『劇場版 呪術廻戦0』(21)、いよいよ完結編の放送がこの秋に控えている「進撃の巨人 The Final Season」など、数々の話題作を手掛けてきたMAPPA。同スタジオにとって、本作が意外にも初のオリジナル劇場アニメーション作品となる。

差し込む光から雨や雪などの表現、部屋のディテールまでMAPPAならではの神作画が際立つ
差し込む光から雨や雪などの表現、部屋のディテールまでMAPPAならではの神作画が際立つ[c]新見伏製鐵保存会

その作画力と表現力の高さは、もはやアニメファンならば誰もが知るところ。MAPPA作品だからという理由で試写会に足を運んだ観客も少なくなく、「期待を裏切らない美しい映像だった。空や水の表現がとても好きです」(30代・女性)「MAPPA制作ということで高くなっていたハードルを遥かに越える圧巻の作画でした。美しい描写はもちろん、キャラクターの醜い、薄暗い感情・表情も力強く描写されており、圧倒されました」(20代・女性)と、MAPPAと岡田麿里の世界観のマリアージュに大満足の声が数多く寄せられている。

「写真と見間違うくらい精巧な背景の描写には感動しかないです」(50代・女性)
「生活感ある家の内部(子どもの机、炬燵の懐かしい掛布)、田舎町(小さな店が並ぶ商店街、自販機コーナーがたくさんある駐車場)の描写。昭和生まれには懐かしい」(40代・男性)
「作画が圧倒されるくらい綺麗でした。カメラアングルも秀逸で雨や雪、風などの動きもとても丁寧で綺麗で音楽とよく合っていて美しい世界観が感じられました」(40代・男性)

製鉄所の第五高炉で出会う野生の狼のような少女・五実。久野美咲が声を担当している
製鉄所の第五高炉で出会う野生の狼のような少女・五実。久野美咲が声を担当している[c]新見伏製鐵保存会

そしてもちろん、圧倒的な世界観のなかで躍動するキャラクターたちの姿と、彼らが直面する“恋する衝動”への葛藤や闇、そして弱さを真正面から描くストーリー。そうした生々しくも心を掻きむしるような描写に、性別や世代を問わず多くの観客が心を打たれたようだ。

「ファンタジー系の冒険ものみたいな感じなのかなと思ってたのが思ってたよりラブストーリーの要素が強かったと感じました」(20代・男性)
「五実に感情移入してしまいました。年を重ねても、変わらない人の気持ち、心の動きがあると思います」(60代・女性)
「恋って激しく強くやるせない。主人公たちの気持に何度も胸を叩かれた」(50代・男性)
「工場の爆発と世界の停止という物語の根幹となる謎、登場人物の真意、五実の扱いの理由、迫られる最後の選択と、どう収束するのか予測ができず、目が離せませんでした」(20代・女性)
「好きは"いたい"。この意味が分かるとラストシーンは涙が出てきた」(20代・男性)

観客の心が揺さぶる、実力派声優陣による熱演!

時が止まった町で、未来を変えるために奔走する少年少女たちを描く
時が止まった町で、未来を変えるために奔走する少年少女たちを描く[c]新見伏製鐵保存会

主人公の正宗役を担当したのは「呪術廻戦」の虎杖悠仁役などで知られる榎木淳弥。ミステリアスな同級生の睦実役は上田麗奈が務め、五実役は久野美咲と実力派声優が集結。アフレコの現場では、彼ら3人からのリクエストによって、“互いの目を見て演じる”という方法で収録が行われたという。その前代未聞の熱いアフレコによって実現した、感情豊かな演技も本作の見どころの一つだ。

「キャラクターの感情表現と彼らを取り巻く世界の描写が見事にリンクしていた」(50代・男性)
「生々しいまでの感情が沸き立って、生が濃厚になる。ある種主人公達がとても羨ましく思えました」(40代・女性)

正宗の叔父・時宗の声を担当しているのは林遣都!
正宗の叔父・時宗の声を担当しているのは林遣都![c]新見伏製鐵保存会


さらに正宗の叔父である時宗役を現在放送中のテレビドラマ「VIVANT」での熱演も話題の林遣都が、正宗の父・昭宗役をこれが声優初挑戦となる瀬戸康史がそれぞれ担当している。「声優だけでなく俳優陣の演技も違和感なく素晴らしかった」(30代・女性)「瀬戸さんの声がまわりの声優さんよりも大人な声で、父親役にぴったりだった」(50代・女性)とのコメントの通り、実写作品で見せてきた彼らの演技力の高さは、アニメ作品でもひときわの輝きを放っている。ぜひその声の演技にも注目してほしい。

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