純度200%の岡田麿里ワールド『アリスとテレスのまぼろし工場』を映画ファンはどう観た?「恋って激しく強くやるせない」「ラストシーンは涙が出てきた」

コラム

純度200%の岡田麿里ワールド『アリスとテレスのまぼろし工場』を映画ファンはどう観た?「恋って激しく強くやるせない」「ラストシーンは涙が出てきた」

中島みゆきの新たな名曲が誕生!映画館の音響で味わうべき「心音(しんおん)」

本作のエンディングを彩るのは中島みゆきが歌う主題歌「心音(しんおん)」。前作『さよならの朝に約束の花をかざろう』の物語が、中島の大ヒット曲「糸」と重なったことから、岡田監督は中島の楽曲をよく聴くようになり、大ファンになったという。そして、これまでアニメ映画の主題歌書き下ろしを一度もしてこなかった中島に、ダメ元で主題歌を依頼。脚本を読んだ中島は本作の世界観に惚れ込み、夢のコラボレーションが実現した。

中島みゆきの書き下ろし主題歌「心音(しんおん)」がすべてを包み込む!
中島みゆきの書き下ろし主題歌「心音(しんおん)」がすべてを包み込む![c]新見伏製鐵保存会

岡田監督自身も「完成した楽曲を聴いた時、言葉を失って、気付いたら泣いていました。ここまで作品に寄り添って描いてくださるとは、衝撃的でした」と語るほど、作品の世界観にマッチした「心音(しんおん)」。今回の試写会のアンケートでも特に多く寄せられていたのが、エンドロールで流れ、作品の余韻を際立たせながらすべてを包み込んでくれるこの楽曲へ絶賛の声だ。

「ストーリーのエッセンスをちりばめた歌詞、サビで繰り返される力強い『未来へ』、どこか懐かしさを感じるギター、背中を押すような、突き放すような、包み込んでくれるような中島みゆきさんの歌声。映画を観る前と後とであまりにも印象が違います。是非映画館で聞いてほしいです」(20代・女性)
「“未来へ未来へ未来へ君だけで行け”という歌詞が主人公達の姿と重なって、切ないメロディと合わさって映画に合っててとてもよかったです」(40代・女性)
「中島みゆきとアニメが結びつかない印象でしたが、柔らかめに歌っている?ので全く気になりませんでした。試写会後に公式YouTubeであらためて歌詞を見ながら聴きなおすと、この映画への思い入れを実感します」(50代・女性)
「やはり、中島みゆきさんの唄は心打たれます」(50代・男性)

【写真を見る】“岡田麿里ワールド”が炸裂!MAPPAの神作画と中島みゆきの力強い歌声と唯一無二のコラボレーション
【写真を見る】“岡田麿里ワールド”が炸裂!MAPPAの神作画と中島みゆきの力強い歌声と唯一無二のコラボレーション[c]新見伏製鐵保存会

クライマックスに待ち受ける予想外の展開に、驚愕の声が続出!

そして、タイトルにもある“まぼろし”の意味がわかるクライマックスの展開には、「そういう事だったの!?と、驚き、衝撃的でした!!」(40代・女性)「予想していなかった展開だったので驚いた」(20代・男性)「ええええ!?こんな展開なの??と衝撃的でした」(40代・女性)といった驚愕する声が相次いでいるように、様々な感情が込み上げてくることだろう。

ファンタジー要素の強い本作だが、現実の世界とリンクする様々な問いを投げかけている
ファンタジー要素の強い本作だが、現実の世界とリンクする様々な問いを投げかけている[c]新見伏製鐵保存会


深夜アニメを一躍国民的なコンテンツにのし上げた「あの花」から12年。岡田麿里が新たに生みだし、MAPPAと中島みゆきと唯一無二のコラボレーションを果たした『アリスとテレスのまぼろし工場』は、日本のアニメーション映画の新たな時代を切り拓く作品となることだろう。是非ともこのエポックメイキングな一作を、美しい映像と音で堪能できる劇場の大スクリーンで目撃してほしい。

そして最後に、特に熱のこもった感想コメントをひとつ紹介しよう。

「(岡田麿里が描く作品は)キャラクターの描写の繊細さがもっとも魅力だと思います。年頃の男女の揺れ動く心を丁寧に表現しており、感情の熱さだけではなく、ときには汚さ醜さを描くのがたまりません。自ら監督した『さよ朝』も揺れ動く感情を繊細に描ききり、多分岡田麿里でしか書けない題材をうまく作品としてまとめる腕が凄いと思います。

好きな作品は『凪のあすから』です。この作品も止まってしまった時間を題材にまた動きだす様を描いていますが、今回の『アリスとテレスのまぼろし工場』では止まってしまった一方の側面を中心とし、『時間が止まる』という解釈の再構築を行なっており、天才なんじゃないかと思いました」(30代・男性)

『アリスとテレスのまぼろし工場』は9月15日(金)より公開!
『アリスとテレスのまぼろし工場』は9月15日(金)より公開![c]新見伏製鐵保存会

文/久保田 和馬

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