バラエティと女優の両軸で活躍!共感必至の「コタツがない家」で主演、小池栄子の優れたバランス力

コラム

バラエティと女優の両軸で活躍!共感必至の「コタツがない家」で主演、小池栄子の優れたバランス力

まさに怪演!女優としてのすごさがわかる『接吻』『八日目の蝉』

続いて小池が女優としての力量を見せつけた作品が、豊川悦司と共演した『接吻』(08)だ。28歳の独身OL、遠藤京子(小池)は孤独な日々を過ごしていたが、ある時、一家斬殺事件の容疑者である坂口秋生(豊川)が逮捕され、連行されていくのをニュース番組の中継で見かける。テレビカメラに向かつて笑みを浮かべる坂口に魅了された京子はすべてを捨ててのめり込み、ついには獄中にいる彼と結婚してしまう。小池は京子が抱える孤独や狂気を鬼気迫る演技で体現。その演技は高く評価され、第18回日本映画批評家大賞の主演女優賞を受賞したほか、数々の賞に輝いた。

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また怪演ということでは、『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』の成島出監督がメガホンをとった『八日目の蝉』で、小池が演じたフリーライターの安藤千草役も印象的だった。この作品は、角田光代の人気小説を映画化した衝撃作。不倫相手の家庭に生まれた赤ん坊の恵理菜を誘拐し、薫と名付け、自分の子どもとして育てた誘拐犯、野々宮希和子(永作博美)の4年間の逃亡劇と、事件の影響で心を閉ざしたまま成長した恵理菜(井上真央)の葛藤と愛憎を活写している。千草は一連の事件を取材し、書籍として出版しようと恵理菜に近づくが、小池はそれだけではない何らかの意図を感じさせる挙動不審な人物として千草を表現。物語を展開させるキーパーソンとして重要な役割を担った。

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人生のひきこもごもを描く笑いに満ちたホームドラマで本領発揮!「俺の話は長い」ほか

このように様々な役柄を演じてきた小池だが、とりわけ近年は精力的にドラマに出演し女優としての存在感が増している。

深夜ドラマ「わたし旦那をシェアしてた」では、事実婚をしていた夫が殺害され、衝撃の事実を知るシングルマザー役に。また、中村倫也と共演した「美食探偵 明智五郎」では明智(中村)を翻弄する殺人鬼役、そして有村架純主演作「姉ちゃんの恋人」では弟3人を養うヒロインの桃子(有村)が働くホームセンターの、恋する上司役など個性的なキャラクターにトライしている。


そんなジャンルを問わない抜群の対応力を持つ小池の最近の出演作のなかでも、とりわけ話題となったのが、生田斗真がダメ男を演じた2019年放送のホームドラマ「俺の話は長い」だろう。31歳の岸辺満(生田)は起業に失敗し、6年前から実家にニートとして寄生中。妙に口がたつ彼はヘリクツをこねて自分を正当化して生きてきた。そんな折、マイホームの建て替えのため姉家族も実家に身を寄せることになり…。この作品で小池は丸の内のバリキャリである満の姉、秋葉綾子役を演じ、満のダメっぷりを「現実逃避」とバッサリ切りつつ姉としての愛情深さも表現してみせた。

こうして振り返ってみるだけでも、小池が女優業においても様々なジャンルの作品で、個性を発揮しつつ作品の色調に調和してきたことがよくわかる。バランス力抜群の小池が今後どのような作品に出演していくのか、引き続き注目していきたい。


文/足立美由紀

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