目黒蓮、TAMA映画賞で最優秀新進男優賞を受賞!『わたしの幸せな結婚』が役者業の転機に。奥平大兼も「いましかできないお芝居を大切に」と誓いの言葉
映画ファンの祭典「第33回映画祭 TAMA CINEMA FORUM」にて国内映画賞のトップバッターとして注目を集める「第15回TAMA映画賞」の授賞式が11月25日にパルテノン多摩で開催され、最優秀新進男優賞を受賞した目黒蓮(『わたしの幸せな結婚』『月の満ち欠け』)、奥平大兼(『君は放課後インソムニア』『ヴィレッジ』『あつい胸さわぎ』『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』)が登壇。トロフィーを手に喜びと、今後の抱負を明かした。
目黒は、同映画祭のパンフレットに「『わたしの幸せな結婚』という作品、塚原あゆ子監督との出会いが、僕の人生を大きく変え、今後の役者人生を左右するものだったと確信しております」との受賞メッセージを寄せた。『わたしの幸せな結婚』は、心を閉ざしたエリート軍人と、家族に虐げられて育った少女の政略結婚から始まるラブストーリー。目黒が映画単独初主演を飾り、ヒロイン役を今田美桜が務めた。同賞において「現実世界とかけ離れたキャラクターを華がある演技でスクリーンに焼き付け、観る者をとりこにした。アクションで動きのキレを魅せる一方、(ヒロイン)美世への想いの移ろいを繊細な感情表現で演じきった」ことが、今回の受賞理由となった。
ステージでトロフィーを受け取った目黒は、「撮影が終わった後もこうして賞をいただけると、作品が生き続けているんだなと実感することができて、本当にうれしく思います」とコメント。大きな拍手を浴びた。撮影時、塚原監督からは「リアルを大切にしてほしい」という言葉をもらったという。目黒は「『こういうことを言われたらこういう反応になるよね。こういう表情になるよね』と、現実を大切にされている方。お芝居経験がまだ少ない時期に塚原監督に会うことができて本当に幸運だなと思います」としみじみ。俳優としても飛躍を遂げたが、「その後の作品でも、教えていただいたことが生きた。感謝しています」と明かした。
アクションのキレも評価されたが、ダンス経験が注がれたのかと聞かれた目黒は「ダンスや振り付けを覚えることとアクションとは、結びついてはいけないものと言いますか」と思いを巡らせ、塚原監督からは「アクションが振り付けっぽくならないように」と演出があったとも。目黒は「『きれいにやらないでほしい』と言っていただいた。イメージ的には崩していくような感覚で、アクションをやらせてもらっていました。Snow Manとしての歌やダンス、パフォーマンスも、お芝居を経験させてもらううちに表現の幅が増えたのかなと思っています」と俳優業がグループ活動にもいい影響を与えていると話し、「Snow Manでいる時は、なるべく目黒蓮を足していく感じですが、役を演じさせていただく時はどれだけ自分を引いていくか。足し算や引き算をしている感覚なんですが、すみわけられていて楽しくやらせてもらっています」と笑顔を見せた。
今後の抱負について、目黒は「自分は作品のためにあって、作品を通して想いを伝えたい。作品を通して、その想いが一人でも多くの方に届けばいいなと思います」と切りだし、「観てくださった方の人生や生活に、なんらかの影響を与えられるようなお芝居ができたらいいなと思います。今後、ありがたいことにいくつかお話をいただいていますが、誰かがではなくて、自分がやるべきだと思える作品。自分の心も動く作品に出演させていただいて、皆さまにお届けしていけたら」と願っていた。
奥平は、『君は放課後インソムニア』『ヴィレッジ』『あつい胸さわぎ』『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』と今年数々の作品で存在感を発揮した。「いずれの作品においても物語に溶け込み、若さゆえの輝きや脆さを繊細に表現した。役柄を的確に捉える優れたバランス感覚と素直な表現力は、映画の未来を担っていくことを予感させる」と評された奥平は、ステージに上がり、監督や共演者、撮影地の人々など、周囲への感謝を伝えた。
不眠症に悩む2人の高校生を主人公にした同名青春マンガを実写映画『君は放課後インソムニア』では、ダブル主演を務めた森七菜に大いに助けられたと告白した奥平。「原作を読ませていただいた時に、漫画の雰囲気がすばらしい作品だなという印象を受けました。その雰囲気を実写で出せればいいなと、意識してました。森七菜さんがその空気を出すために、温かい雰囲気をくれた。とてもナチュラルなお芝居を出してくれたので、そのおかげで僕もナチュラルなお芝居ができた」とお礼を述べた。
さらに奥平は「自分の性格と似ていない役を演じてみたい。まだ自分が感じたことがないような、難しい役にチャレンジしてみたい」と意欲を見せつつ、これまで演じた役柄だと「最高の教師 1年後、私は生徒に□された」における星崎役が「自分の考え方や性格と近い子なのかなと思う」と分析。「お芝居をしている最中も、自分のことを語っているかのような感覚になって、いい意味でお芝居をしている感覚がないというか。すごく特殊な経験をさせていただいた」と充実感と共に日々を過ごしている。今後については「だんだん学生の役や若い気持ちを表現する役が、ずっとできるわけじゃないんだと実感していて。自分がいましかできないお芝居を大切にするべきなんだろうなと思うようになりました。これからも、自分の若い力を借りて表現していきたい」と誓い、「映画やお芝居を通して、観ていただく方になにかを伝える楽しさ、やりがいを感じることがとても多い。今後も引き続き、皆さまになにかを伝えられる役者になれたら」と未来を見つめていた。
【第15回TAMA映画賞受賞結果一覧】
■最優秀作品賞:『怪物』(是枝裕和監督、及びスタッフ・キャスト一同)、『雑魚どもよ、大志を抱け!』(足立紳監督、及びスタッフ・キャスト一同)
■特別賞:『君たちはどう生きるか』(宮崎駿監督、及びスタッフ・キャスト一同)、『リバー、流れないでよ』(上田誠、山口淳太監督はじめヨーロッパ企画、及びスタッフ・キャスト一同)
■最優秀男優賞:佐藤浩市(『春に散る』『せかいのおきく』『仕掛人・藤枝梅安2』『大名倒産』『キングダム 運命の炎』『ファミリア』『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』)、鈴木亮平(『エゴイスト』『劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室』)
■最優秀女優賞:菊地凛子(『658km、陽子の旅』)、黒木華(『せかいのおきく』『ヴィレッジ』『映画 イチケイのカラス』『ほつれる』『#マンホール』)
■最優秀新進監督賞:福永壮志(『山女』)、金子由里奈(『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』)
■最優秀新進男優賞:目黒蓮(『わたしの幸せな結婚』『月の満ち欠け』)、奥平大兼(『君は放課後インソムニア』『ヴィレッジ』『あつい胸さわぎ』『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』)
■最優秀新進女優賞:山田杏奈(『山女』)、高石あかり(『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』『Single8』『セフレの品格 決意』『わたしの幸せな結婚』『終末の探偵』『ハッピーエンディングス』『追想ジャーニー』)
取材・文/成田おり枝
※宮崎駿の「崎」は「たつさき」が正式表記
※高石あかりの「高」は「はしごだか」が正式表記