「いい意味で裏切られてすごくおもしろい」「ヤバさよりもエモさを追い求めたドラマ」「せつなくて涙」観客のコメントから迫る怪作『怪物の木こり』の中毒性
菜々緒、吉岡里帆、染谷将太らが演じるアクの強いキャラクターたち
二宮の脇を固めるキャラクターもまた、“登場人物全員サイコパス!?”との触れ込みにもあるように誰も彼もクセ者ばかり。
「キャスティングがいい。各ラストシーンで演者たちをその役に当てた意味が見える」
「原作を読んでいるので原作と映画を比べる作業も楽しくて、個性あふれるキャラクターたちが原作から飛び出してきたみたいでした」
など、強烈なキャラクターに命を吹き込んだ役者たちの演技も光っている。例えば、菜々緒扮する、プロファイラーとして淡々と事件の暗部に足を踏み入れていく戸城嵐子は、情報分析の腕は確かだがコミュニケーションが苦手で捜査本部でも孤立しがち。衝動的に違法捜査にも手を染めたりと危うさも感じさせる人物だ。
「菜々緒さんの冷静だけど動きのある演技がよかった」「主演は亀梨和也だが、主役は菜々緒」「菜々緒に見惚れた。渋川清彦が相棒で、バディムービーとしても大いに楽しめた」とのコメントも見受けられ、冷たさと血の通った表情が混在した、人間味のある人物像を表現した菜々緒の演技も好評。渋川清彦演じる刑事、乾との軽妙なやりとりも魅力的だ。
また、吉岡里帆は二宮の婚約者の荷見映美を演じ、純粋な女性が事件に巻き込まれ二宮の本性に気づいてしまうという心の変化をエモーショナルに体現。「吉岡里帆が素晴らしい。むしろ彼女がいなければ締まらない物語となっているほど人間の二面性を表面化させて転覆させる重要な役を担っている」と、ある出来事をきっかけに感情を爆発させる熱演を絶賛するコメントも見られた。
さらに「いい気持ち悪さ」「サイコパス演技がハマっていた」と、染谷将太による二宮の協力者のサイコパス医師、杉谷九朗や中村獅童演じるある殺人事件の容疑者、剣持武士など、右を見ても左を見ても濃いキャラクターばかり。誰もが怪しげな雰囲気を纏っており、「誰が木こりなの?」と観客を惑わせ、最後まで興味を持続させていく。
「いろいろな感情が渦巻いて不思議な感覚に陥る何度でも観たい映画です」「観るたびにより深く会話が理解でき、登場人物一人一人の心情がわかり、その場面の景色に発見があった」という声も上がっているように何度も楽しめる『怪物の木こり』。未見の人はもちろん、すでに観たという人も再び劇場に足を運んでみてはいかがだろうか?
構成・文/サンクレイオ翼