不器用な“伝説のハガキ職人”を、岡山天音が全身全霊で熱演する青春ムービー『笑いのカイブツ』など週末観るならこの3本!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
不器用な“伝説のハガキ職人”を、岡山天音が全身全霊で熱演する青春ムービー『笑いのカイブツ』など週末観るならこの3本!

コラム

不器用な“伝説のハガキ職人”を、岡山天音が全身全霊で熱演する青春ムービー『笑いのカイブツ』など週末観るならこの3本!

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、「伝説のハガキ職人」の半生を綴った青春私小説の映画化、自らを「消耗品」と名乗る最強軍団の活躍を描くシリーズ第4弾、大災害のなか、唯一残ったマンションの住民たちの争いを描いたパニックスリラーの、俳優陣の演技が光る3本。

すべてをぶつけて挑んだ異色の青春ムービー…『笑いのカイブツ』(公開中)

【写真を見る】岡山天音が“伝説のハガキ職人“として再起を図るツチヤを熱演!(『笑いのカイブツ』)
【写真を見る】岡山天音が“伝説のハガキ職人“として再起を図るツチヤを熱演!(『笑いのカイブツ』)[c]2023「笑いのカイブツ」製作委員会

主演は、『キングダム2 遥かなる大地へ』(22)、『さかなのこ』(22)などの話題作やドラマで着実に傷跡を残し、親しみやすいキャラと独特の空気感で観る者の目を釘づけにしてきた若手の演技派、岡山天音。「伝説のハガキ職人」として知られるツチヤタカユキの同名私小説をこれが長編商業映画デビュー作となる滝本憲吾監督が映画化した本作は、そんな彼がキャリアとスキルのすべてをぶつけて挑んだに違いない異色の青春ムービーだ。16歳から5秒に1本、狂ったように毎日ネタを書き続けて6年。その才能が認められ、大阪に住むツチヤは念願叶ってお笑い劇場の作家見習いになる。だが、自分の笑いだけを追求し、他人のやり方を受け入れず、社会の常識から逸脱した行動をとる彼はやがて劇場を去ることに。それでも笑いを諦めきれない彼は、自暴自棄になりながらも、ラジオ番組にネタを投稿する“ハガキ職人”として再起をかけるが…。

この社会では、自分が信じていることだけで突き進むのは難しい。才能があっても成功するとは限らない。だが、それでも他人のやり方や価値観に決して迎合しない不器用なツチヤを、岡山天音が全身全霊で熱演!どこにもぶつけられないその満たされない思い、芝居を超えたガムシャラな生き様がめちゃくちゃ生っぽくて、嘘がないから、動揺な思いを抱えた者たちの胸に突き刺さる。ツチヤの人生を大きく左右する重要人物たちを、岡山天音とは古くからの友人の菅田将暉、仲野太賀が演じているのもいい。ヒロインに扮した松本穂香、母親役の片岡礼子も含めた彼らと岡山天音の芝居の化学反応が、劇中のツチヤと彼らとの関係と重なって、映画の感動をより深いものにしている。(映画ライター・イソガイマサト)

お祭り気分が満喫できる…『エクスペンダブルズ ニューブラッド』(公開中)

再集結した最強軍団「エクスペンダブルズ」の戦いを描く『エクスペンダブルズ ニューブラッド』
再集結した最強軍団「エクスペンダブルズ」の戦いを描く『エクスペンダブルズ ニューブラッド』[c] 2022 Ex4 Productions, Inc.

アクション映画のレジェンドが集結した「エクスペンダブルズ」、約10年ぶりの復帰作。核ミサイルを狙う武器商人を阻止するためリビアに飛んだバーニー(シルベスター・スタローン)やクリスマス(ジェイソン・ステイサム)ら“消耗品”軍団は、謎のテロリストの策略でチーム解体の危機に陥ってしまう。主演が“生みの親”スタローンから“相棒”ステイサムへと移った本作は、バーニーの離脱やクリスマスの解任、ジーナ(ミーガン・フォックス)の新リーダー就任など波乱のドラマを展開。

トニー・ジャーやイコ・ウワイスの参戦、ジャッキー・チェンのカンフーチームがファイトコレオグラフィを担当するなど新風を吹き込みながら、ドルフ・ラングレンやランディ・クートゥアら常連組も大暴れと、新旧メンバーがバランスよく組み合った。打ち止め覚悟の“生きる伝説全部入り”をぶち上げた『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』(14)に続く作品として、理想的なチーム編成といえる。もちろんアクションは血沸き肉躍るフィジカル仕様。お祭り気分が満喫できる、お正月にぴったりのアクションスター顔見世興行作だ。(映画ライター・神武団四郎)。


不寛容の広がる世界の状況にも重なって見える…『コンクリート・ユートピア』(公開中)

イ・ビョンホン、パク・ソジュン、パク・ボヨンらが出演するパニックスリラー『コンクリート・ユートピア』
イ・ビョンホン、パク・ソジュン、パク・ボヨンらが出演するパニックスリラー『コンクリート・ユートピア』[c] 2023 LOTTE ENTERTAINMENT & CLIMAX STUDIO, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

CGを多用したスペクタクルや派手なアクションはあっても、ストーリー面で首を傾げることが多かった韓国ディザスター・ムービーの系譜に、見応えのある作品が登場した。

今作が長編第2作となるオム・テファ監督は、巨大災害に直面して逃げ惑う人々を描くのではなく、既存の社会システムが壊された後、唯一、残されたマンションの中で新たなシステムを作ろうとする住民たちの奮闘に焦点を当てる。限られた空間や食料などを守るため、外部の人たちへの敵意を徐々にあらわにしていく彼ら彼女らの姿は、韓国だけに止まらず、不寛容の広がる世界の状況にも重なって見える。イ・ビョンホンが住民たちから臨時代表に選ばれた男の変貌を鬼気迫る演技で見せ、映画を最後まで牽引する。(映画ライター・佐藤結)


映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。

構成/サンクレイオ翼

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