年末年始も韓国ドラマ三昧!癒やしをくれる医療ドラマからイッキ見推奨のサスペンスまで、おすすめ5選

コラム

年末年始も韓国ドラマ三昧!癒やしをくれる医療ドラマからイッキ見推奨のサスペンスまで、おすすめ5選

誘拐犯と被害者の奇妙な絆。珠玉のヒューマン・サスペンス・ドラマ「誘拐の日」

サスペンスと家族ドラマが好きという方に見て頂きたいのが、Prima Videoのドラマ「誘拐の日」。Netflixなどに比べて地味で埋もれがちだが、昨年の「アンナ」のように力強い作品が揃っている。韓国の同名小説を原作にしたこのドラマも、初回の視聴率が1.8%だったが、9話で4.2と回を追うごとに視聴率が上昇した。口コミで徐々に注目度と評価が上がるというのは、名作の証しでもある。

誘拐犯とその被害者が、事件の真相に迫るにつれて本物の親子のような絆を深めていく「誘拐の日」
誘拐犯とその被害者が、事件の真相に迫るにつれて本物の親子のような絆を深めていく「誘拐の日」[c]ENA

うだつの上がらない父親ミョンジュン(ユン・ゲサン)は、難病の娘の高額な医療費を捻出するため、妻ヘウン(キム・シンロク)に指示されるまま裕福な家庭の少女ロヒ(ユナ)を誘拐する。しかし、身代金の要求に反応しないことを訝しんだミョンジュンがロヒの家を訪れると、彼女の両親は無残に殺害されていたのだった。思いがけず殺人犯にされ警察に追われることになったミョンジュンは、ロヒとともに奇妙な逃亡を繰り広げながら真犯人を突き止めていくが、そこには思いも寄らない真相が隠されていた。

今年のベストバディ賞を捧げたいミョンジュンとロヒの名コンビ
今年のベストバディ賞を捧げたいミョンジュンとロヒの名コンビ[c]ENA

誘拐された被害者と誘拐犯が図らずも共犯関係を結び、事件の謎を解き悪をあぶり出す。とりわけ新鮮というわけではない筋立てだが、終盤に近づくほど展開がスリリングに加速していく。さらにストーリーラインを輝かせたのが俳優陣だ。不器用な誘拐犯ミョンジュン役のユン・ゲサンは、歴代級の悪役チャン・チェンを演じた『犯罪都市』(17)、日本統治下で自国の言葉を守ろうとする国語学者に扮した『マルモイ ことばあつめ』(19)、心に傷を負った冷徹な神経外科医を演じたドラマ「チョコレート: 忘れかけてた幸せの味」などシリアスなキャラを好演してきたが、今回は気弱で優しい父親の役でキャリアに新鮮味を加えた。とにかくドジっぷりが絶妙で、ロヒとの応酬にもコメディのセンスがにじみ出ている。そして真っ直ぐに娘を思い、親の愛を知らないロヒのことも暖かく包み込む親としての器量の深さに、何度も涙を誘われる。

誘拐される少女ロヒ役のチョン・ユナは、500対1の競争率を勝ち抜いてキャスティングされたニュースターだ。数カ国語を操り、頭の回転が速く生意気なロヒがミョンジュンをタジタジにする姿が痛快で、ユン・ゲサンも「共演して、自分も娘が欲しいと思った」と言うほどだった。その一方、両親の温かい愛を受けず生きてきた深い孤独も見事に表現している。邦画を支える名優・伊藤沙莉さんも彷彿とさせるクールな目元には子役らしからぬ風格もあり、将来が実に楽しみだ。

ミョンジュンとロヒを追う強力班(凶悪な刑事事件を担当する部署)の若手刑事、サンユンに扮したパク・ソンフン
ミョンジュンとロヒを追う強力班(凶悪な刑事事件を担当する部署)の若手刑事、サンユンに扮したパク・ソンフン画像はパク・ソンフン(@boxabum)公式インスタグラムのスクリーンショット


ミョンジュンとロヒを追う強力班(凶悪な刑事事件を担当する部署)の若手刑事、サンユンに扮したパク・ソンフン。韓国ドラマファンなら「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~ 」の憎き悪役ジェジュンだとピンと来るだろう。あのときの冷酷な加害者の眼差しから一転、「誘拐の日」では正義感溢れる刑事として躍動している。ミョンジュンの事情を知って真犯人ではないことを見抜き、周囲の反対を押して事件の真相に迫る意志の強いキャラクターが似合っていて、ヴィランからあらゆる役まで演じ分けることが出来ると証明した。次第にミョンジュン同様、ロヒにあごで使われるようになり、コミカルな姿も楽しませてくれる。

韓国エンタメ界の王道とも言えるリベンジものの新たな金字塔「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~ 」から、家族愛とSFアクションを融合した新機軸の大ヒット作「ムービング」まで、ジャンルの追求と横断でさらなるポテンシャルを見せつけた2023年の韓国ドラマ。来年もまた新たな世界で、私たちファンを驚かせてくれることだろう。

文/荒井 南


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