『ゴールデンカムイ』における狂気の最重要キャラ!鶴見中尉を怪演する玉木宏から目が離せない
鶴見中尉のカリスマ性に合致した玉木宏のキャスティング
その野田本人から、鶴見役にぴったりだという熱烈オファーがあり、理想のキャスティングとなったのが玉木。彼自身も原作のファンで、もし自分が演じるなら鶴見がいいなと思っていたという。まず、鶴見中尉は、精鋭ぞろいの第七師団の多くのメンバーを心酔させ、意のままにしてしまうほどのカリスマ性の持ち主。スタイルがよくて、上背があり、ただそこにいるだけで圧倒的な存在感を放つ玉木は、原作の鶴見のイメージにとても近い。
ビジュアル面では、日露戦争の奉天会戦での砲撃により前頭部を損傷し、白いホーロー製のプロテクターで額全体を保護している鶴見。脳みその一部が吹き飛ばされたせいか、興奮するとプロテクターの下から脳汁がドロリと垂れてくるという異様な様は、実写になると一段とグロテスクだ。目元から頬骨にかけて広がる焼けただれたような生々しい傷跡も、特殊メイクで完璧に再現。玉木のせっかくの美貌が半分隠れてしまっているのだが、原作の回想シーンで出てくる鶴見は相当の美男子。容姿を含めて、人を強く惹きつける力があった人物なので、端正な顔立ちの玉木だからこそ説得力が生まれている。
そして、鶴見中尉のビジュアル以上に強烈なのが、その内面の個性。前頭葉を欠損した影響か、頭に血が昇りやすく、なんの前触れもなく、異常な暴力性を発露させることも多い。劇中、雪山で消息を絶った4人の部下の捜索時に、上官の和田大尉から叱責された鶴見が、脳から漏れ出る体液をハンカチで冷静に拭きつつ、和田の人差し指にいきなり噛みつくや否や、ブチッと歯で指を噛み切ってしまうシーンがある。沸点がどこかわからず、いつなにをしでかすかわからない鶴見の狂気をまざまざと感じさせる、玉木の振り切った演技に注目だ。
また、情報将校である鶴見は、情報収集や分析能力に長けており、人心掌握はお手のもの。指を失った和田大尉が部下に「(鶴見を)撃て!」と命じた際の成り行きからも、鶴見が師団員たちの行動をいかにコントロールしていたかがよくわかる。