『ゴールデンカムイ』における狂気の最重要キャラ!鶴見中尉を怪演する玉木宏から目が離せない
狂気の尋問シーン、クライマックスにおけるチェイスアクションも白熱!
本作の後半、第七師団の兵舎で拘束された杉元が、鶴見中尉に刺青人皮の在り処について尋問されるシーンも大きな見どころ。串団子を食べながら、質問をのらりくらりとかわしていた杉元の両頬を、突然、団子の竹串でザクッと突き刺す鶴見。とんでもないことをされたのにもかかわらず、驚くわけでも、痛みに声を上げるわけでもなく、瞬き一つせずに平然としている杉元。演じる玉木と山崎の冷静な表情の下にうごめく激情、ただ者ではない2人の狂気と狂気が静かにぶつかり合う名シーンに、ゾクゾクしてしまう。
狂気といえば、炎に包まれる第七師団の兵舎を見ながら、鶴見がおもむろに軍服を脱ぎ、下に着こんでいた刺青人皮で作った肌着を見せるシーンも衝撃的。死体から剥いだ皮膚を直接身に着けても平気な神経、金塊に対する執念が凄まじい。
そのほか、馬橇に乗った杉元と、馬であとを追う鶴見が繰り広げる、疾走感あふれるスリリングなチェイスシーンや、舘ひろし演じる土方歳三と鶴見が初めて互いを認識する、貫禄たっぷりの対峙シーンなども観逃せない。もはや登場シーン一つ一つが、パワフルでかっこいい見せ場になっている(本作において、それは鶴見に限らず、すべてのキャラクターに言えることであるのだが)。
若い頃は爽やかな好青年のイメージが強かった玉木だが、年齢を重ねるにつれ、ラブストーリー、ミステリー、コメディなど出演作品のジャンルの幅が広くなり、演じる役柄も二枚目から三枚目、ヒーローから悪役まで実に様々。とはいえ、さすがに本作の鶴見ほど強い個性を持つキャラクターは別格だ。原作ファンからも愛されるミステリアスな鶴見中尉役が、玉木にとって新たな当たり役になることは間違いない。
文/石塚圭子
※山崎賢人の「崎」は「たつさき」、アシリパの「リ」は小文字が正式表記