アカデミー賞ノミネートのサスペンス・スリラー『ありふれた教室』公開決定!不穏なティザーチラシ&特報も

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アカデミー賞ノミネートのサスペンス・スリラー『ありふれた教室』公開決定!不穏なティザーチラシ&特報も

2023年開催の第73回ベルリン国際映画祭でC.I.C.A.E Award、Label Europa Cinemasをダブル受賞し、第96回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされたドイツの新鋭イルケル・チャタク監督最新作『The Teacher’s Lounge(英題)』が邦題を『ありふれた教室』として5月17日(金)より全国公開されることが決定。あわせて、ティザーチラシと特報が解禁された。

【写真を見る】『ありふれた教室』は第96回アカデミー賞国際長編映画賞にもノミネート
【写真を見る】『ありふれた教室』は第96回アカデミー賞国際長編映画賞にもノミネート[c]if… Productions/ZDF/arte MMXXII

本作は現代社会の縮図というべき“学校”を舞台に、ある新任女性教師の悪夢のような極限心理をあぶりだすサスペンス・スリラー。校内で発生した小さな事件をきっかけに事態が予想もつかない方向へと激しくうねり、わずか数日間で学校の秩序が崩壊してしまう様を活写する。

第73回ベルリン国際映画祭パノラマ部門でワールドプレミアされたのを皮切りに、ドイツ映画賞最多5部門(作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞)の受賞を達成し、さらに映画批評を集積、集計するサイト「ロッテン・トマト」では99%FRESHという高得点を獲得。第96回アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートをはたした本作は、これが日本劇場初公開となるチャタクの長編4作目にあたる最新作だ。

チャタク監督は教育分野で働く様々な人々へのリサーチを行い、自らの子ども時代の実体験も織り交ぜてオリジナル脚本を執筆。誰にとってもなじみ深い学校という場所を“現代社会の縮図”に見立て、正義や真実の曖昧さをサスペンスフルに描ききったその試みは、ミヒャエル・ハネケやアスガー・ファルハディといった名匠の作風を彷彿とさせる。主演のレオニー・ベネシュはハネケ監督の代表作『白いリボン』(09)で注目され、「THE SWARM/ザ・スウォーム」、「80日間世界一周」などのテレビドラマシリーズで活躍する実力派。次々と重大な選択や決断を迫られる主人公カーラの葛藤を生々しく体現した本作でドイツ映画賞主演女優賞を獲得し、ヨーロッパ映画賞女優賞にもノミネートされた。

本作が追求した多様なテーマは、教員のなり手不足や過酷な長時間労働、モンスター・ペアレンツなどの問題がしばしば報じられる日本社会とも無縁ではない。教育現場のリアルな現実に根ざし、世界中の学校やあらゆるコミュニティーでいつ暴発しても不思議ではない“いまそこにある脅威”を見事にあぶりだしている。

このたび解禁となったティザーチラシでは、主人公の新任教師カーラがメインに捉えられ、目元には赤いアザのようなものが見受けられるが表情が全て見えないため、不穏さが伝わる。裏面では人混みのなかカーラが呆然とした表情で佇み、「窃盗」、「絶望」、「崩壊」などのキーワードがちりばめられ、両面ともにただならぬ空気が漂うデザインとなっている。あわせて公開された特報では、ある盗難事件をきっかけにカーラが次第に追い詰められていく様子が収められていて、生徒や同僚教師との対立、そして教室での叫び声、さらに緊迫感漂う音楽も相まって彼女の混乱を映像に落とし込んだ内容に仕上がっている。


ドイツの新鋭監督が真正面から“教育”と向き合い衝撃のサスペンス・スリラーへと昇華させた本作。新たな才能の日本初上陸をぜひ映画館で見届けてほしい。

文/スズキヒロシ

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