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話題の大人向け海外アニメにハマる理由はキャラクターにあり!?「ハズビン・ホテルへようこそ」の魅力あふれる地獄の住人たち

コラム

話題の大人向け海外アニメにハマる理由はキャラクターにあり!?「ハズビン・ホテルへようこそ」の魅力あふれる地獄の住人たち


●アラスター(声:佐藤せつじ)

ハズビン・ホテルのマネージャー。「ホテルの運営を手伝いたい」とチャーリーの前に現れたが、その理由は「つまらないヤツらが、なにか意味あることをしようと、もがいて失敗するのを見たいから」だと公言してはばからない自己中心的な性格。もとは“ハッピー・ホテル”だったホテル名を、“Hazbin(has been=廃れた) Hotel”に改名した名付け親でもある。

ビジュアルは赤い髪に赤い目、赤い服と赤ずくめ。頭に生えた鹿の角は、力を行使する時に巨大化する。常にニタニタ笑いを浮かべているが、胸の内でなにを考えているのかはまったくつかめない。生前はラジオ番組の人気司会者にして、アメリカ南部で悪名高い連続殺人鬼だった。地獄に堕ちたあとは、当時の地獄を牛耳っていた上級悪魔たちを次々に惨殺し、その際の悲鳴をラジオで放送したという逸話から、“ラジオ・デーモン”の異名を持つ。常にラジオノイズが混じっている声も特徴的だ。自分の死後に普及したテレビを嫌っている。

登場人物の多い本作のなかでも、最もミステリアスなキャラクターであり、7年前にいきなり地獄から姿を消した理由も、いま再び地獄に舞い戻った理由も、すべてが謎に包まれている。元人間の悪魔としては破格に強い上級悪魔で、追い詰められた者の弱みにつけこんで、悪魔の契約を交わすことができる。第4話では、かつてハスクがアラスターに魂を売っていたことが判明したほか、第7話ではチャーリーも彼と取引をしてしまい(魂ではない)、ヴァギーを大いに不安にさせた。しかし実は、そんなアラスター自身も何者かとの契約に縛られており、自由を渇望していることが第8話で明かされる。果たしてその相手とは…。

【写真を見る】“ラジオデーモン”の異名を持つ劇中最強格の上級悪魔、アラスター
【写真を見る】“ラジオデーモン”の異名を持つ劇中最強格の上級悪魔、アラスター[c]Everett Collection/AFLO

●ルシファー(声:花輪英司)

チャーリーの父親で、地獄の王。はるか昔、天地創造の頃から存在する生粋の天使の一人だったが、最初の人間の女性であったリリスと恋に落ちた罪で、彼女と共に地獄に堕とされてしまう。チャーリーが幼い頃は、いつも夢の話を聞かせ、夢のために生きることを教えて大切に育てていた。しかし、7年前にリリスが姿を消してからはうつ病を患い、娘のチャーリーとも会いたがらないほど引きこもりがちに。

チャーリーを心から愛し、彼女が傷つくことを恐れるあまり、ハズビン・ホテルの開業にも反対していたが、第5話で久しぶりに娘と対面し、彼女の本気の想いを理解するようになる。日頃の言動がへなちょこで、いかにも弱そうに見えたルシファーが、ラストバトルで娘を守るため、初めて見せつける地獄の王としての威厳に満ちた強さは圧巻!


欠点だらけのキャラクターたちの姿は大人の胸にこそ響く!

このほかにも、アラスターの仇敵となるチームVの3人組や、アラスターやエンジェル・ダストの旧友、知人たち、そして天国界にいる面々など、個性豊かなキャラクターがたくさん登場。はちゃめちゃでユーモラスなキャラクター像と、彼らが背負った過去の重さとのギャップは本作の大きな吸引力になっている。

楽しそうなエンジェル・ダストと不満気なハスク、サー・ペンシャス
楽しそうなエンジェル・ダストと不満気なハスク、サー・ペンシャス[c]Everett Collection/AFLO

パンクなコメディ調から、どんどんエモーショナルな展開になるストーリー。聴けば聴くほどハマってしまうクオリティの高い劇中曲の数々。大義名分の下に行われる戦争への強烈なアンチテーゼ…。本作の魅力的な要素を挙げていくとキリがないが、観る者が共感できる、欠点だらけのキャラクターたちの贖罪と赦しの物語は、やはり大人の胸にこそ響くものがある。シーズン2の制作はすでに決定。新作の公開を心待ちにしつつ、それまでは中毒性の高い本作を存分に楽しみたい。

文/石塚圭子

●「ハズビン・ホテル(パイロット版)」
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