観る準備はOK?最新作に向けてSF大作『デューン』の世界観と物語をおさらい
砂漠に適応して生きるフレメンと自然の脅威と同等の存在、サンドワーム
物語の流れとしては、この3つの要素を抑えておけばいいが、本作はそれ以外にも重要な注目ポイントがある。それは、アラキスの生態系とそこに暮らすフレメンの存在だ。砂で覆われた惑星であるアラキスの環境は厳しく、日中の気温は摂氏60度を超える高温で、激しい砂嵐が吹き荒れる。そのため、生身では2時間程度しか生きることができない。さらに地表には、惑星を守るかのように最長400メートルにもおよぶ巨大生物、砂虫=サンドワームが多数生息している。サンドワームは規則的な音に反応し、その巨体で周囲の人間や重機を飲み込んでしまうため、アラキスにおける自然の脅威とも言える存在だ。
フレメンはそんな過酷な環境で生き抜くために、汗や尿などから出る水分を逃がさずに溜め、精製して真水に変える機能を持つ保水スーツを着用。さらに彼らはサンドワームを制御する術を持ち、独自の文化やしきたりを継承して生きてきたが、ハルコンネン家によって迫害されて暮らしている。彼らが虐げられている状況を救うとされる“マフディー”の存在が待ち望まれるなか、その可能性を持つポールとの邂逅は、1作目の大きな注目ポイントとなっている。
ちなみに、原作小説である「デューン砂の惑星」は、多くのSF作品に影響を与えており、日本でも宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』(84)は、過酷な環境に住む民の存在や自然の意思のような王蟲などもその影響下から生まれたと言えるだろう。
こうしたバックボーンが緻密に描かれた1作目を踏まえ、続編『デューン 砂の惑星PART2』ではいよいよ劇中世界に大きな変革を与える戦いが繰り広げられ、マフディーと目されるポールの本格的な活躍、チャニと行動を共にする彼の運命が描かれる。前作をはるかに凌ぐスケールで迫る、その壮大な物語の行く末をぜひ劇場で目撃してほしい。
文/石井誠