『貴公子』でスクリーンデビューしたキム・ソンホ。名匠と組んだアクションシーンは「一生心に刻まれる」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『貴公子』でスクリーンデビューしたキム・ソンホ。名匠と組んだアクションシーンは「一生心に刻まれる」

インタビュー

『貴公子』でスクリーンデビューしたキム・ソンホ。名匠と組んだアクションシーンは「一生心に刻まれる」

ドラマ「スタートアップ:夢の扉」でサブキャラクターながら一躍注目され、「海街チャチャチャ」で大ブレイクしたキム・ソンホ。そんな彼が映画初出演にして主演を務めた『貴公子』が公開中だ。巨額の遺産をめぐって繰り広げられる壮絶な攻防戦を描く韓国ノワールアクションで、『新しき世界』(13)、「THE WITCH/魔女」シリーズで大絶賛されたパク・フンジョン監督とタッグを組んだ彼に、オンライン取材で作品への思いや見どころを聞いた。

【写真を見る】これまでの爽やかなイメージを覆す“貴公子”を演じたキム・ソンホ
【写真を見る】これまでの爽やかなイメージを覆す“貴公子”を演じたキム・ソンホ[c]2023 GOLDMOON PICTURES & STUDIO&NEW. All Rights Reserved.

フィリピンで病気の母の治療費を稼ぐため、地下格闘を続けているマルコ(カン・テジュ)。
彼の父は韓国人だったが、これまで一度も会ったことがなかった。そんなマルコの前に、父の使いを名乗る男が現れて韓国に向かうことに。その飛行機の中でマルコは自らを「友達(チング)だ」と呼ぶ謎の男・貴公子(キム・ソンホ)と出会う。美しい顔立ちで不気味な笑みを浮かべる男に恐怖を感じたマルコは距離を置くが、執拗に追いかけられるなか、思いも寄らぬ事態へと巻き込まれていく。果たして、マルコは父と会えるのか?そもそも彼は何のために韓国に呼ばれたのか?そして、執拗なまで追いかける貴公子の目的とは?すべての謎が明らかになった時、マルコにさらなる危機が襲い来る。

「監督から『時計じかけのオレンジ』の主人公を参考にしてはどうかと提案された」

キム・ソンホはパク・フンジョン監督と共に髪型、スーツ姿といった外見から、仕草や癖まで、貴公子の個性をゼロから作り上げた
キム・ソンホはパク・フンジョン監督と共に髪型、スーツ姿といった外見から、仕草や癖まで、貴公子の個性をゼロから作り上げた[c]2023 GOLDMOON PICTURES & STUDIO&NEW. All Rights Reserved.

今回、記念すべきスクリーンデビュー作であり、初主演作として『貴公子』に挑んだキム・ソンホ。その理由は「パク・フンジョン監督のファンだから」だという。

「この作品で描かれる貴公子こと、謎のベールに包まれた男にとても興味を引かれたのですが、そんな主人公をパク・フンジョン監督だったら、どんなふうに撮られるのだろうとシナリオを読みながら想像しました。特に、追跡シーンをはじめ、アクションシーンが得意な監督だけにとても興味がわいて。ぜひこの作品に出演したいと思ったんです」。

敬愛する監督との初タッグに、「緊張感もあったけれど、喜びのほうが大きかった」と満面の笑みを見せる。キム・ソンホといえば、にこやかな笑みが魅力の一つだが、本作で演じる貴公子ではその微笑みこそが、敵か味方かわからない正体不明の人物として謎を呼び、マルコはもちろん、観客すら煙に巻く。

貴公子のキャラクターは『時計じかけのオレンジ』の主人公アレックスからインスピレーションを受けたと語るキム・ソンホ
貴公子のキャラクターは『時計じかけのオレンジ』の主人公アレックスからインスピレーションを受けたと語るキム・ソンホ[c]2023 GOLDMOON PICTURES & STUDIO&NEW. All Rights Reserved.

「シナリオのト書きには、貴公子は微笑みを常に浮かべているとたくさん書いてあったんです。監督とキャラクターについていろんな会話を重ねていくなかで、スタンリー・キューブリック監督の『時計じかけのオレンジ』の主人公を参考にしてはどうかと言われて。あの主人公は自分が行っていることに対して善悪の意識などせず、無自覚に楽しんでいる。そんな姿を意識して、キャラクターを作り上げていきました」と明かす。

その一方で、貴公子は序盤からマルコをクルマで追い、自分の足でも走りに走って追い続けるという役どころ。しかも、スーツ姿で激しいアクションシーンに挑まなくてはならなかった。

「おかげでスーツのパンツが破れたこともありました(笑)。でも、スーツを着てアクションをするという素敵な姿を披露できるなんて俳優冥利に尽きるじゃないですか。だから、ベストを尽くして取り組みました。それに何度もスーツを着た状態でアクションをしていたら、何となく生地が伸びたみたいで少し楽に演技ができた気がします」

「実は高所恐怖症。ワイヤーアクションは怖くて忘れられないものになった」

ワイヤーアクションは高所恐怖症との闘いだった
ワイヤーアクションは高所恐怖症との闘いだった[c]2023 GOLDMOON PICTURES & STUDIO&NEW. All Rights Reserved.

格闘に接近戦、そして銃撃戦などアクションシーンがノンストップで描かれる本作。そのために、入念に準備し、練習も重ねた。


「例えば、銃に関しては事前に映画会社の準備してくれたフェイクの銃があったんですが、これが実際の銃と同じ重さになっていて、なるべく触ることで少しでも早く手に馴染むように心がけました。また実際に射撃場にも行って何度も練習しました。戦闘シーンでは相手との動線やアクションがきちんと合うように細かくチェックし、アクションに関して万全の態勢で臨めるように取り組みました」。

もっとも苦労したシーンもあったようで、「実は、僕は高所恐怖症なんです。マルコを追って、高い橋の上を走るシーンなど、僕が走っていますが本当に怖かった。もちろん、背中には安全のためワイヤーが付いていますけど、それでも怖くて。忘れられないものになりましたよ」と苦笑いを浮かべる。


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