惹かれる理由は“ギャップ”にあり!「ブルーロック」もう一人の主人公、“天才”凪誠士郎の魅力に迫る
凪視点で「ブルーロック」の激闘を描く『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』
そして現在、『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』が公開中だ。本作は「別冊少年マガジン」にて連載中のスピンオフ作品「ブルーロック -EPISODE 凪-」(作画:三宮宏太)が原作。テレビアニメ終了時に劇場アニメの制作が発表された。
本作の主人公、凪誠士郎(声:島崎信長)は、「ブルーロック」本編の主人公、潔(声:浦和希)の前に立ちはだかったライバルの一人。「めんどくさい」が口癖でやる気がなさそうな空気を纏い、本編でも彼の面倒くさがり屋な一面がたびたび描かれてきた。一方で、高い身体能力を持ち、その才能に惚れ込んだ同級生、御影玲王(声:内田雄馬)に半ば強引に誘われる形でサッカーを始め、半年でトッププレイヤーに上り詰めた逸材でもある。
そんな凪がどのように自身をサッカーに導いた玲王と出会い、ブルーロックへ参加したのかという経緯に加え、「オニごっこ」や「総当たりリーグ戦」、潔との出会いによって“覚醒”していく様が彼の視点で描かれている。
サッカー歴半年ながらトッププレイヤーになった凪
果たして、凪とはどのような人物なのか。前述で少しばかり触れたが、彼を表す言葉は大きく2つあると考える。まず1つ目には冒頭から伝えている「天才」、そして2つ目に「面倒くさがり屋」だろう。
テレビアニメでも潔や玲王が口にしていた、「天才」という言葉。サッカー歴半年、サッカーの知識がほとんどないにもかかわらず、並外れた身体能力による桁外れのトラップ力を武器に、「総当たりリーグ戦」における最終戦の潔チームとの対戦まで、一度も敗北を経験したことがなかった。凪の天才的な一面はサッカーだけにとどまらず、授業中はずっと寝ているのに試験では学年2位をとってしまうという生来の地頭のよさもミニアニメ「ブルーロック あでぃしょなる・たいむ!」で描かれている。勝利を勝ち取るために努力と思考を積み重ねてきた平凡な潔とは、まさに“真逆”の主人公なのだ。
ところが、凪の本来の性格は「面倒くさがり屋」。これに関しては本編を観たり、キャラクターブック「EGOIST BIBLE」を読んだりしてもらえれば一目瞭然なのだが…。キャラクターブックには座右の銘の項目に「めんどくさい(座右の銘を考えるのが)」、自分が思う自分の短所に「めんどくさがり」、きのこ派orたけのこ派に「めんどくさい(どっちでもいいし、どっちもおいしい)」と「めんどくさい」のオンパレード。そんな彼の面倒くさがりを支える(甘やかす)のが玲王だ。歩くのも面倒くさがる凪をおんぶして運ぶ“玲王リムジン”は作中たびたび描かれてきた。
側で支え続けてくれた玲王との間に亀裂が…
また、天才だからなのか、面倒くさがり屋だからなのか…。表面的に思い浮かんだ言葉しか相手に伝えない言葉足らずな側面がある。二次選考で行われた「奪敵決戦(ライバルリー・バトル)」では3人一組のチームを組むことになり、なんと凪は、玲王ではなく潔とチームを組むことを選択する。自身を負かした潔への強い興味ゆえの行動だが、側で支え続けてくれた玲王との間には亀裂が生まれてしまう。今回の劇場版では、凪が玲王に対してなにを考えていたのかも描かれているのだが、彼らより幾ばくか年齢的に大人な筆者は「その言葉、玲王に伝えてあげたら、亀裂が生まれなかっただろうに…」と野暮なことを思ってしまうのであった。