トニー・レオン主演『無名』の舞台にも…スパイ合戦が繰り広げられた“魔都”上海
まだまだある!上海を舞台にした作品たち
ある種、魅惑的ともいえる側面を持つ上海は、幾度となく映画の題材として取り上げられてきた。『無名』のチェン・アル監督が手掛けた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・上海』(16)もまた、1930年代の上海で激動の時代に翻弄された人々の姿を描いた1作。裏社会を舞台に、マフィアやスパイ、軍人らの思惑のぶつかり合いが描かれていく。
また、トニー・レオンが主演を務めたアン・リー監督作『ラスト、コーション』(07)も同時代の上海が舞台。汪兆銘政権下で抗日組織を弾圧する特務機関の男性と彼を暗殺するために近づいた女性工作員、立場の異なる2人の間に芽生える愛の行方が描かれる。女性スパイは実在した鄭蘋茹(テン・ピンルー)をモデルにするなど、当時の雰囲気を感じ取れる1作だ。
名匠ロウ・イエがメガホンをとった『サタデー・フィクション』(19)もまた、太平洋戦争勃発直前の上海租界を舞台にした1作。コン・リー、オダギリジョー、パスカル・グレゴリー、トム・ブラシアといった各国のキャストで、日本軍から太平洋戦争開戦の奇襲情報を得るためフランス諜報員が仕掛けた策略が繰り広げられていく。
このほか、渡辺謙、菊地凛子が出演した『シャンハイ』(10)など、この頃の上海をモチーフとした作品は多数あるので、『無名』への理解を深めるという意味でもあわせてチェックしてみてはいかがだろうか?
文/サンクレイオ翼
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