吉田恵輔監督がイベントで語る最新作『ミッシング』への覚悟と自信「石原さとみの“本気”を一人でも多くの方に観てもらいたい」
札幌でのトークイベントには、吉田監督がリモート参加!
裾野でのプレミア上映会の翌日、5月11日には札幌市のSTVホールで特別試写会が行われ、上映後のアフタートークに読売新聞小樽支局長の片岡正人と札幌テレビ放送報道解説員の急式裕美が登壇。吉田監督もオンラインで参加し、本作の重要なテーマのひとつでもある“報道の在り方”について意見を交わした。
「実際に同じような環境に置かれている人もたくさんいると思います。そんな人たちが観てくれたら、救いというかなにか優しいものを感じてもらえるように作ろうと、覚悟を持って臨みました」と本作に挑む上での覚悟を明かす吉田監督に、急式は「夫婦を襲う絶望、もどかしさにリアリティがあり、鑑賞しながら同じ気持ちを抱くことができました」と語り、片岡も「石原さとみさんの鬼気迫る演技にとにかく圧倒された。夫婦のドラマとしてとても感銘を受けました」と賛辞を送る。
SNSの普及によって個人が情報を発信できるようになった昨今。マスコミの取材方法も変わってきているようで、急式は「視聴率に追われるテレビ局のシーンはリアリティに溢れていた」と、片岡は「新聞は視聴率などはないが、ニュース価値を考えて大事なことを優先して記事にしています。速さも重要だが、正しい情報を伝えるのが新聞の役割です」と語る。また、作品を手掛けるに当たってマスコミへの取材も行なったという吉田監督は、「自分がもし同じ環境で働いていたら、本作で描いたようなことをしてしまっていると思う」と取材を経て感じた思いを吐露。
その後、映画を観終えたばかりの観客からの質疑応答コーナーに入ると、熱のこもった質問に吉田監督は次々と真摯に回答していく。「石原さんが役にのめり込みすぎて、自分がどう演じたのか覚えていないという発言をテレビでみましたが、それはどのシーンだと思いますか?」と訊かれると「色々と鬼気迫るシーンはありますが、警察署でのシーンもその一つだと思います。現場では台本にないオーダーをしたのですが、石原さんは正常ではない境地に達して、演技を超えた世界に入っていました」と振り返った。
最後に吉田監督は「『ミッシング』は大事な作品となりました。自分の作品は全部大切ですが、そのなかでも分岐点になる一作で、多くの人に届くことを願っています。石原さんが『このままじゃ私はダメだ。自分を壊したい』という強い覚悟で挑んだその答えを出したつもりです。石原さんの本気を、一人でも多くの方に観てもらいたいです」と強くアピールしていた。
文/久保田 和馬
※吉田恵輔監督の「吉」は「つちよし」が正式表記