デビュー作から「アンナチュラル」、最新作『ミッシング』まで。トップ女優・石原さとみが歩んだ軌跡とネクストステージ

コラム

デビュー作から「アンナチュラル」、最新作『ミッシング』まで。トップ女優・石原さとみが歩んだ軌跡とネクストステージ

この春より3年ぶりの連続ドラマ「Destiny」で初となる検事役に挑み、疑惑が渦巻く過去と対峙する、芯の強いヒロインに扮している石原さとみ。さらに現在は『空白』(21)、『神は見返りを求める』(22)の吉田恵輔監督とタッグを組んだ『ミッシング』が公開中。とある街で起きた幼い少女の失踪事件と、それにより人生を狂わされていく家族の姿を生々しく描いたサスペンスドラマだ。

石原さとみが、これまでのパブリックイメージを覆す怪演を見せた『ミッシング』
石原さとみが、これまでのパブリックイメージを覆す怪演を見せた『ミッシング』[c]2024「missing」Film Partners

本作で石原は、SNSの誹謗中傷にさらされる母親役を熱演し、その衝撃的ともいえる演技が絶賛されている。これまでドラマや映画で観てきたどの彼女とも違う、見たことのない姿が印象的だ。今回はそんな国民的女優・石原さとみの代表作を振り返りながら、数々の作品を経て辿り着いた『ミッシング』での新境地について紹介していく。

筒井康隆原作『わたしのグランパ』(03)で女優デビュー

東京都出身の石原さとみは、筒井康隆原作『わたしのグランパ』(03)で女優デビュー。この作品は、13年の刑期を終えて刑務所から戻ってきた祖父と、孫娘の交流を描いたヒューマンドラマだ。石原は祖父役の菅原文太を相手にその孫娘である珠子を瑞々しく演じ、第27回日本アカデミー賞優秀新人賞、第46回ブルーリボン賞新人賞、第25回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞ほか多数の賞を受賞。また同月には初の連続テレビドラマとなる「きみはペット」でキャリアウーマンのスミレ(小雪)のペットになるモモ(松本潤)の元恋人役に。さらに同年9月からは、ミュージカル調でおくる異色のNHK連続テレビ小説「てるてる家族」で四姉妹の末っ子の冬子を元気に演じるとともに“語り”も務めるなど、女優として好調なスタートをきっている。

「失恋ショコラティエ」「校閲ガール・河野悦子」ほか代表作となるドラマも多数!

その後も吉永小百合主演作『北の零年』(04)や小栗旬と共演した「リッチマン、プアウーマン」など数々の映画やドラマでキャリアを積んでいくが、そんな彼女の出演作の中でも人気の高い作品の1つが「失恋ショコラティエ」だろう。人気少女コミックを実写化したこの作品で彼女が扮したのは、天才ショコラティエの爽太(松本潤)から片思いされる高校の先輩である沙絵子。爽太はチョコ好きの沙絵子を振り向かせたい一心でフランスへと修行に行き、帰国後にはチョコレート専門店「ショコラヴィ」のオーナーになるのだが…。石原は、人妻になっても爽太をなにかと翻弄する小悪魔の沙絵子をあざと可愛く演じきった。

そして「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」も大人気のテレビシリーズだ。ファッション誌のエディター志望にも関わらず校閲部に配属された主人公が、校閲という仕事の奥深さに気づいて人間的に成長していく本作。ヒロインの悦子に扮した石原は、何事にも一生懸命で正義感の強い主人公を明るく元気に体現。そのスーパーポジティブな姿勢が悩める現代女性を勇気づけると評判に。ファッショナブルな悦子の衣装も彼女にとても似合っていて、放送後は番組で着用した衣装が在庫切れするプチ社会現象も巻き起こした。

また、石原の代表作として「アンナチュラル」も捨てられない。舞台となるのは「不自然死究明研究所(Unnatural Death Investigation Laboratory:通称UDIラボ)」という架空の研究機関で、所員たちの鋭い観察眼と探求心によって“不自然な死”の真相が明らかとなっていく。この作品で彼女が演じたのは死因究明のスペシャリストである法医解剖医の三澄ミコト。一見クールでサバサバしているように見えるミコトを、石原は心の奥に熱い想いを持つ人物として表現し、幅広い層から支持を得ている。

なお、この大ヒットシリーズが『ラストマイル』(8月23日公開)のタイトルで映画化され、6年ぶりにカムバック。シリーズ最新作では、流通業界のイベント「ブラックフライデー」前夜に起きた連続爆破事件の謎にUDIラボの面々が挑む。綾野剛×星野源W主演作「MIU404」と世界線を交差させるシェアード・ユニバースで展開していく完全オリジナルストーリーで、期待が高まっている。


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