「共感できる言葉が見つかる」「不思議なノスタルジー」『違国日記』が心に刺さる理由を感想コメントでひも解く
「なぜこんなにもみずみずしく、生々しく描けるのだろう」あなたの心に刺さる言葉が見つかるはず
年代、生き方も異なる槙生と朝だが、率直にそれぞれの胸の内を言葉にするところに多くの共感が寄せられていた。前述した言葉以外にもまだまだ名言と呼ぶべきものがあり、朝を引き取ることを決めた槙生が「私は決してあなたを踏みにじらない」とまっすぐに朝に言い放ったシーンには、「物語の根幹になるセリフだと思います」(女性・30歳)という意見や、「言われたかった言葉だし、朝が救われた言葉だから」(女性・28歳)という声も寄せられているとおり、まさに名言と言えるだろう。
また、“完璧”な大人だった母に育てられてきた朝は、散らかり放題の部屋に暮らし、身の回りに気を配ることもなく仕事に没頭する槙生の姿にショックを覚え、「大人ってもっとちゃんとしているものじゃないの!」とたびたび言葉にする。そんな朝の姿に自身の子どものころを重ねる声も。
「『大人ってこうだと思っていた』という言葉。自分もそう思っていたし、いまもそれが残っていて自分に対して課してしまうところがある」(女性・26歳)
「学生のころに思い描いていた大人像をふと思い出した。大人になるにつれて自然と忘れてしまった感覚。なぜこんなにもみずみずしく、そして生々しく描けるのだろうか」(女性・37歳)
「誰かしらに必ず共感する」魅力あふれる登場人物たち
槙生と朝のほか、槙生への変わらぬ想いを引きずりながら2人の生活をサポートする笠町、槙生の学生時代からの友人である醍醐奈々(夏帆)、朝の親友で同じ高校に進学した楢えみり(小宮山莉渚)、弁護士の塔野和成(染谷将太)らが登場する。それぞれが自然体で、自身の考えを自由に言葉にしたり、周囲には言えない悩みを抱えていたりと、主人公2人以外の登場人物も魅力にあふれている。
「登場人物の誰かしらに必ず共感すると思います」(女性・34歳)
「幅広い層、それこそ思春期から子育ての終わった主婦といった様々な人の共感を集める作品として薦められます」(男性・31歳)
「俳優さんたちのキラキラした演技がとてもよかった。初夏にぴったり!大人が観ても、子ども(中高生)が観てもいい作品だと思う」(女性・36歳)
槙生たち大人世代と、朝やえみりらの思春期真っ只中のやわらかい世代まで、それぞれに現在や過去の自分を重ねて観ていたという人が大勢いる。ここからは、そんな登場人物や俳優たちの演技に寄せられた声を紹介しよう。
「遠くも近くもない、適切な距離」。笠町や醍醐…大人の関係性に憧れる
槙生と笠町はかつて恋人同士だったが、「結婚は考えられない」という槙生の意思によって別れを選んだ過去が。しかし、その後の2人の関係が悪くなったわけではなく、朝との同居に関する手続きを指南したり、2人で食事にも出かけるなど良好な関係性を築いている。このような2人の絶妙な関係性と恋愛観に言及する声も。
「結婚をいいものと考えていないことに共感しました」(女性・34歳)
「結婚や恋愛に対しての考え方。私も同じように思っているので」(女性・32歳)
また、槙生のよき理解者である醍醐は持ち前の前向きさで周囲を明るくする女性。彼女のような存在に憧れるという声や、「夏帆さんは30代の等身大の役がはまりますね」(男性・28歳)など、そんな醍醐を好演した夏帆の演技が印象的だったという感想も見られた。
「適切な距離から、遠くも近くもないところから2人を見守る奈々」(男性・25歳)
「槙生を支えられる友人として、奈々はすばらしかった」(男性・30歳)
一方で槙生のことをほどよい距離感を保ちながら支える笠町には、同性や同世代から、自身もこうありたいという「理想の大人像」という声が印象的だった。
「笠町くんは理想の大人像というか、こうありたい存在としてずっとありました」(男性・31歳)
「槙生に対して笠町は、突き放さずに向き合い、いまの関係がなんだと断言しないところがとてもリアルだなと感じました」(男性・21歳)
このほか、槙生と朝の同居生活を心配しながらも見守る槙生の母、京子(銀粉蝶)にも、「母は相反する姉妹をずっと見守りながら、彼女は彼女なりのなりきれていない、それでも立派な母としてそこにいた気がします」(男性・31歳)と、意見が寄せられていた。