能力者の生まれる町、人喰いの村…ディズニープラスで見られる変わった村や街、集めました

コラム

能力者の生まれる町、人喰いの村…ディズニープラスで見られる変わった村や街、集めました

ディズニープラス「スター」で独占配信中のドラマシリーズ「七夕の国」。原作は「寄生獣」「ヒストリエ」の岩明均が発表した怪奇ミステリー漫画で、ある超能力を持った青年が日本全土を混乱させる陰謀に巻き込まれていく姿を描く。劇中では超能力と深い関わりのある場所として、丸神の里と呼ばれる閉鎖的な雰囲気漂う町が登場する。ディズニープラスではほかにも、変わった村や町が登場する作品がそろっているので、「七夕の国」とあわせて観たい配信作品を紹介したい。

※本記事は、ネタバレ(ストーリーの核心に触れる記述)を含みます。未見の方はご注意ください。

古来より超能力の秘密を守ってきた丸神の里が舞台の「七夕の国」

まずは最新作の「七夕の国」から。主人公は大学4年生の南丸洋二ことナン丸(細田佳央太)。彼はどこにでもいる平凡な大学4年生だが、意識を集中させることで紙や空き缶などの対象物に小さな丸い穴をあける超能力を持っていた。超能力者と言えば聞こえはいいが、穴の大きさは鉛筆の芯ほどで、大学の「新技能開拓研究会」というサークルで披露する以外の使い道はなく、ろくに就職活動をしないまま怠惰な日々を送っている。

役に立たない超能力を持て余し、怠惰な日々を送っていた大学4年生のナン丸(「七夕の国」)
役に立たない超能力を持て余し、怠惰な日々を送っていた大学4年生のナン丸(「七夕の国」)[c] 2024 岩明均/小学館/東映 岩明均「七夕の国」(小学館刊)

そんなある日、ナン丸は同じ大学の民俗学教授、丸神正美(三上博史)の呼び出しを受けて研究室を訪ねるが、当の教授はある調査で東北にある“丸神の里”と呼ばれる丸川町へ出かけたまま行方不明になっていた。さらに、丸神ゼミの講師、江見早百合(木竜麻生)ら研究室のメンバーから、丸神教授もナン丸と同じような超能力を持っていること、丸神家と南丸家のルーツが丸川町にあることを聞かされる。江見やゼミ生の多賀谷守(濱田龍臣)、桜木知子(西畑澪花)が教授を捜しに丸川町へ行くというので、ナン丸もこれに同行することに。そのころ、丸川町では土地開発をめぐって住民による反対運動が起こっており、建設会社の社長が頭部を抉られ、右手も失った状態で殺害されるという奇妙な事件が発生していた…。

ナン丸と同じ超能力を持ち、丸川町へ出かけたまま行方不明となった民俗学教授、丸神正美(「七夕の国」)
ナン丸と同じ超能力を持ち、丸川町へ出かけたまま行方不明となった民俗学教授、丸神正美(「七夕の国」)[c] 2024 岩明均/小学館/東映 岩明均「七夕の国」(小学館刊)

村社会のような小さなコミュニティには独自のルールがあり、時にそれは法律や一般的な常識、道徳観が通用しないことも。丸川町の人々も表向きは人のよさそうな顔をしているが、丸神教授についてなにか知っていそうなのに知らぬ存ぜぬの一点張りで、江見たちには非協力的だ。ところが、ナン丸が丸神の里のかつての領主の子孫にあたり、能力も有していることを知ると、手のひら返しでいっきに歓迎ムードに。どうやら、この土地では古来より主君と家臣とが強い主従関係で結ばれていて、その名残が現在まで染みついているという。それでも、丸神教授やなぜか“6月”に開催される「七夕祭り」など町の秘密については、いっさい教えてくれようとはしない。

当初は非協力的だったが、ナン丸の出自を知った途端に歓迎ムードになる丸川町の人たち(「七夕の国」)
当初は非協力的だったが、ナン丸の出自を知った途端に歓迎ムードになる丸川町の人たち(「七夕の国」)[c] 2024 岩明均/小学館/東映 岩明均「七夕の国」(小学館刊)

丸神の里に伝わる能力は、“窓を開く”と“窓の外に手が届く”の2つがあり、町の喫茶店で働く東丸幸子(藤野涼子)によると、前者は口で説明するのが難しく、悪夢を見るようなものだという。一方の手が届く能力はあらゆる物を丸く削り取る能力で、ナン丸の超能力もこれに該当する。

幸子の兄、東丸高志によるレクチャーを受けてナン丸の超能力が飛躍的に開花する(「七夕の国」)
幸子の兄、東丸高志によるレクチャーを受けてナン丸の超能力が飛躍的に開花する(「七夕の国」)[c] 2024 岩明均/小学館/東映 岩明均「七夕の国」(小学館刊)

手が届く能力が使えるのはナン丸や丸神教授以外では、幸子の兄である東丸高志(上杉柊平)、丸神家の元神官、丸神頼之(山田孝之)がいる。この能力は“窓の外”と呼ばれる黒い奇妙な球体を発現させ、これを物や液体にぶつけることで球体と同じだけの容積を消失させることができる。当初のナン丸は小さな穴しか開けることができなかったが、第1話の冒頭、戦国時代の丸神の里に攻め入ってきた大軍を、領民たちがこの能力をもって撃退し、攻撃を受けた武士たちの身体に丸く抉った痕がいくつも残されていたように、本来の球体は手のひらサイズぐらい。また、この能力は使い続けることで体にも影響があるようで、高志の額には赤い宝石のような物体が浮き出ている。頼之の場合はもっと顕著で、両手の小指の隣にもう一本の指が生え、目や口、耳も巨大化してエイリアンのような容姿になっていた。


日本全土を混乱させる頼之の目的とは?(「七夕の国」)
日本全土を混乱させる頼之の目的とは?(「七夕の国」)[c] 2024 岩明均/小学館/東映 岩明均「七夕の国」(小学館刊)

閉鎖的な丸川町の人々の態度からもわかるように、本来これらの能力は門外不出。しかし、町との関わりを絶った高志は超能力開発の詐欺セミナーに協力する。町の神官も務めていた頼之も政界のフィクサーのような権力者とつながって講演中の議員を殺害したほか、巨大な球体によって都庁の半分を消し、東京の街にも巨大なクレーターを作るといった単独行動を見せていた。日本全土が混乱に陥るなか、こんな大事をやってのけるのは頼之しかいないとわかっていても、町の住人は彼を擁護する態度を取っている。外の社会には目を向けず、なによりも町の安定を重視する性質からか、はたまた領主の家系で強い能力を持った者への畏怖からか。理由は様々だが一般常識が通用しない内向き志向が、頼之のような怪物を生みだしてしまったのかもしれない。現在7話まで配信中の本作。回を重ねるごとに拍車をかけていく頼之の凶行、果たしてその目的は?丸川町に隠された秘密を明かすことができるのか?そして里の者ではないナン丸だからこそ、しきたりに捉われずに導きだす“答え”に注目してほしい。

壮大な“謎”に引きずり込まれる「七夕の国」特集【PR】
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