残暑もこれで乗り越えられる?『デイ・アフター・トゥモロー』『フローズン』など、過酷すぎる極寒サバイバル映画まとめ
レオナルド・ディカプリオが体現する壮絶な復讐劇/『レヴェナント:蘇えりし者』
レオナルド・ディカプリオが悲願のアカデミー賞主演男優賞に輝いた『レヴェナント:蘇えりし者』(15)。舞台は西部開拓時代のアメリカ北西部の極寒地帯。毛皮猟の一団のガイドをしていたヒュー・グラス(ディカプリオ)は、一人で森を散策しているところをクマに襲われ瀕死の重傷を負ってしまう。さらに、仲間に置いていかれたうえ、ハンターの一人、ジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)が息子のホーク(フォレスト・グッドラック)を殺害。奇跡的に一命を取り留めたグラスは地面を這いずりながら、逃げたフィッツジェラルドへの復讐を誓う。
復讐心だけを支えにすさまじい生命力を見せるグラスの決死のサバイバルが展開。極寒の川にダイブし、原住部族による攻撃にさらされ、バッファローの生肉にかぶりつき、寒さを凌ぐために死んだ馬の腹部を割いてその中に入ることも。ほとんどのシーンを自ら演じたディカプリオの作品に懸ける想いはまさにアカデミー賞級。オスカー受賞の名カメラマン、エマニュエル・ルベツキが捉えた雄大な自然は、壮絶なストーリーに反していつまでも眺めていたい臨場感抜群の美しさにあふれている。
なんにでも擬態する地球外生命体の恐怖…/『遊星からの物体X』
地球外生命体による恐怖と惨劇を描くジョン・カーペンター監督作『遊星からの物体X』(82)。1982年の南極大陸。アメリカ南極観測隊の基地に一匹のイヌが逃げ込み、これを保護することに。しかし、そのイヌの正体は約10年前に飛来し、長い眠りから目覚めた“生きもの”が変異したものだった。“生きもの”はほかの生物に同化し、擬態しながら増殖する寄生生物で、基地の隊員たちは互いに疑心暗鬼になりながらこの異常事態に対処しようとする。
グロテスクという言葉だけでは形容しきれない“生きもの”のビジュアルが強烈な本作。最初のイヌの頭部が花びらのように4つに分かれてほかのイヌを襲ったり、寄生された隊員の一人は腹部が口のような形状になって別の隊員の腕を食いちぎったり、さらに頭部だけが分離して昆虫のような足が生えて歩き始めたり…などなど。気持ち悪いけど、豊かなクリエイティビティを感じさせるクリーチャーたちを拝むことができる。カート・ラッセル演じる主人公マクレディの、寄生されたとわかるとかつての仲間であっても迷いなく火炎放射器を放つ、容赦のなさも潔い。