残暑もこれで乗り越えられる?『デイ・アフター・トゥモロー』『フローズン』など、過酷すぎる極寒サバイバル映画まとめ
極限状態下で究極の選択を迫られる生存者たちの葛藤/『雪山の絆』
1970年代に起きた飛行機墜落事故とその生存者たちの実話を描いた『雪山の絆』(23)。1972年、ラグビー選手団を乗せチリに向かっていたウルグアイ空軍機571便が、アンデス山脈中心部に墜落する。乗客45名のうち29名が生き残るが、周囲は草木が1本も生えていない雪山。極限状態のなかでも互いを鼓舞しながらなんとか生き抜こうとするが、やがて食糧が尽き始め、生存者たちはある究極の選択を迫られることになる。
生存者の一人が事故から36年後に発表した著書を、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(18)のJ・A・バヨナが映画化。飛行中に飛行機が破損し、乗客を外へ吹き飛ばしながら墜落していく一連のシークエンスも恐ろしいほどにリアルだが、その後のサバイバルが想像を絶する過酷さで愕然としてしまう。生きるために自分ならどうするだろうか?そんなことを考えながら倫理観が激しく揺さぶられていく。
乗っていたリフトが突然ストップしてしまい…/『フローズン』
『ソウ』(04)、『オープン・ウォーター』(04)などワンシチュエーションを膨らませたスリラーの一つに数えられる『フローズン』(10)。スキー場へやって来たダン(ケヴィン・ゼガーズ)、ジョー(ショーン・アシュモア)、パーカー(エマ・ベル)の3人は、最後にもう一滑りしようと営業終了寸前のリフトに強引に乗り込むが、スタッフの手違いによって途中で電源が切られてしまう。しかも、この日は日曜日で次の金曜日までスキー場は開かない。マイナス20度の気温に加えて猛吹雪にもさらされるなか、3人は無事に生還することができるのか?
もしも乗車中のリフトが途中でストップし、そのまま降りられなくなったら?このような想像をしたことがある人は少なくないだろう。そんな絶体絶命の状況を描く本作だが、金属製のバーに手が張り付いたり、野生のオオカミが現れたり、リフトがいまにも落下しそうになったりといったトラブルが次々と発生し、思わず目を背けたくなる瞬間も。この作品を観終えたあと、スキーにかかわらずルールを守って遊ぼうときっと誰もが心に誓うはず。
極寒の環境下では、体が動かなくなるだけでなく、頭も働かなくなり正常な判断ができなくなるという。命の危険と隣り合わせのこれらの作品を観れば、少しはこの暑さもマシ(?)と思えるかも。
文/平尾嘉浩