『破墓/パミョ』で初来日したキム・ゴウンにインタビュー!「巫堂の感情を知ることが一番大事なことだった」
「一つ一つの作品での経験が次の作品に活かされ、より自分が成長できる」
巫堂のキャラクターを演じることも初挑戦だったキム・ゴウン。若いながらもカリスマ性たっぶりに巫堂ファリムを演じ、とくに破墓の時に行う“テサルお祓い”という儀式のシーンは圧巻。鬼気迫る演技は絶賛されている。役作りはどのようにしたのだろう。
「この作品をやろうと決めた時から、撮影の前に数か月間、表面的に技術や所作を学ぶのではなくて、巫堂の方たちと話をして彼女たちの人生や暮らしそのものから理解したいと思いました。そもそも私は巫堂の信仰についても知らない。だから、2年ぐらい巫堂のもとに通って、いろんな話をして関係を築いていきました。そうしていくなかで、巫堂が胸の奥に秘めている感情、根底に流れているものに気づいていけるのではないかと思ったんです。たとえば、なぜ巫堂の世界に入ったのか、その時にどんなことを思ったのか。彼女たちの心の底に流れる感情を知ることが、ファリムを演じるためには一番大事なことだと思ったんです」
チェ・ミンシクら世代の異なるキャストとの共演には、どのようなケミストリーを期待していたのだろうか。
「私たちはまったく年齢が違うのに、似た者同士だったんです。みんな、ちょっといたずらっぽくてユーモアがあっておもしろくて。だから、笑いが絶えない現場だったと記憶しています。本当にお腹がよじれるほど笑いながら、撮影に臨んでいたんですよ」と笑顔を見せながら語った。
チャン・ジェヒョン監督については、「シリアスな作品が得意な監督なので、お会いするまでは真面目でちょっと怖い方なのかなと予想していたんです。ところが、とてもキュートな方でした(笑)。ただ、自分が撮りたいと思う画が撮れるまでこだわる。いろんな意味で一番ギャップのある方でした」と明かす。
前述したように、韓国では大ヒットを記録している『破墓/パミョ』。百想芸術大賞の主演女優賞を受賞し、俳優してのキム・ゴウンの注目度はさらに増すことは間違いない。今後の俳優人生にとって、この『破墓/パミョ』がどんな意味を持つか、聞いてみた。
「この作品は、私に“1000万人動員俳優”というタイトルを与えてくれましたが、本当にこれは簡単に手に入れることはできない、大切なタイトルだと思います。どんなにすばらしい作品であっても、必ずしも観客を大勢動員できるわけでもない。さらに作品性も認められた貴重なケースだと思っています。これからの自分の俳優人生のなかで、またこんなことが起きるのかな…と思うほど。ですから、心から感謝の気持ちで受け止めていますし、長く記憶していたいと思っています」
韓国ではすでに新作映画『大都市の愛し方(原題:대도시의 사랑법)』(24)が公開され、俳優として次なるステージに向かっているキム・ゴウン。最後にこんな言葉で締めくくってくれた。
「私は、一つの作品が終わると、いつも反省の時間を持つことにしています。そして、その作品で自分の足りなかったところを振り返るんです。次の作品では同じ失敗はやらないようにと肝に銘じる。そういうことで、一つ一つの作品での経験が次の作品に活かされていく。『破墓/パミョ』も必ずそういう作品になっていくと思います。そして、より自分が成長できる、発展していけるようにと思っています」
取材・文/前田かおり