没後10年となる高倉健主演作『君よ憤怒の河を渉れ』&『野性の証明』が4Kに!稀代の映画スターの足跡をたどる
『ブラック・レイン』でハリウッド映画にも出演
一方でリドリー・スコット監督のハリウッド映画『ブラック・レイン』(89)にも出演。殺人犯を追ってニューヨークからやって来た2人の刑事に協力する大阪府警の松本刑事を演じている。また、この映画は殺人犯に扮した松田優作の遺作にもなった。
1990年代に入って、ハリウッド映画『ミスター・ベースボール』(92)、市川崑監督と初のタッグを組み、大石内蔵助を演じた『四十七人の刺客』(94)と、映画の出演作を絞っていった高倉だが、1999年に降旗&木村とのゴールデントリオが復活する。
高倉健から次世代へのメッセージが込められた『鉄道員(ぽっぽや)』に『ホタル』
それが浅田次郎の直木賞受賞作を映画化した『鉄道員(ぽっぽや)』(99/東映オンデマンドで配信中)。北海道の終着駅を舞台に、定年間近の老駅長が、ある夜に奇跡と遭遇するファンタジー作品だ。妻を大竹しのぶ、娘を広末涼子が演じたこの映画は、配給収入20億5000万円の大ヒットを記録。時に高倉健68歳。人として映画人として、次の世代へ語り継いでおくべきことを考える年齢に差し掛かる。
そして彼が企画を立ち上げたのが、生き残った特攻隊員とその妻の戦争への想いを描く『ホタル』(01/東映オンデマンドで配信中)である。実在した“特攻隊員の母”と呼ばれた女性や、朝鮮人の特攻隊員がいた事実も入れ込んだこの映画には、日本人には忘れてはいけないことがあるという彼のメッセージが込められている。生前の降旗監督に話を聞いた時、「『ホタル』だけは、健さんがいなかったら生まれていなかった映画です」と言っていた。
晩年の2作品、『単騎、千里を走る。』と『あなたへ』は主人公が旅の空で様々な人と触れ合うロードムービーで、演じたキャラクターには人間的な柔らかさがある。そこには東映の任侠映画スターの時のような、権力に立ち向かう孤高のヒーローの姿はない。次の世代へ、人が人を想うことの大切さを遺して、高倉健は人生という旅を終えたのである。
文/金澤誠
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