マーベルコミックではスパイダーマンの最大の宿敵として知られるダークヒーロー“ヴェノム”。その活躍と戦いを描く「ヴェノム」シリーズの最新作にして最終章となる『ヴェノム:ザ・ラストダンス』が日本公開を迎えた。
これまで様々な敵とド派手なバトルを繰り広げてきた“俺たち”の前に新たに立ちはだかるのは、シンビオートの創造主“ヌル”が送り込んだ強敵ゼノファージ。前作からのスケールアップは当たり前と言わんばかりに、映画丸々一本がクライマックスのような怒涛の戦いが連続する本作は、映画の世界へ没入できるIMAXでの鑑賞にぴったりだ!そこで本稿では、IMAX鑑賞の前に押さえておきたい注目ポイントを紹介していこう。
ちょっとグロいけど愛らしい!ヴェノムの最後の戦いが猛スピードで駆け抜ける
まずは「ヴェノム」シリーズをサクッとおさらいしよう。第1作『ヴェノム』(18)ではトム・ハーディ演じるジャーナリストのエディ・ブロックが、宇宙開発を目論むライフ財団の研究施設に侵入。そこで地球外生命体シンビオート“ヴェノム”に寄生されてしまう。真っ黒でグロテスクな見た目で容赦なく人を襲うヴェノムをコントロールできる状態に戸惑うエディ。しかし共闘を機に2人は意気投合を果たす。
続く前作『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(21)では、共生にも慣れてすっかりおしどり夫婦のような関係になったエディとヴェノムの前に、大量殺戮を目論むカーネイジが出現。圧倒的な凶暴さと残虐さを前に悪戦苦闘したものの、なんとか勝利をもぎ取るのだが、街に甚大な被害をもたらしたことで2人は警察に追われることになってしまう。そしてメキシコへと渡り、テレビを観ていた途端、“マルチバース”の扉が開いてしまい…。
最新作は、前作の後に公開された『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(22)のポストクレジットシーンで描かれたバーカウンターのシーンからスタートする。アベンジャーズのいる“MCU”の世界線で新たな戦いが描かれるのか…と思いきや、すんなりと元の世界線へと帰ってくるエディとヴェノム。アメコミ映画のトレンドの一つであるマルチバースを笑いのタネにして、いつも通りの“俺たち”の物語を見せてくれるあたり、「ヴェノム」シリーズらしさ満点だ。
さて、そんな本作を一言であらわすならば、やはり“圧倒的なスピード感”に尽きる。いつも通りのユニークな掛け合いにくすりと笑ったかと思いきや、いきなり出現するゼノファージと超絶バトルを展開。道中で出会う家族との交流にほっこりしたかと思いきや、またもやゼノファージが現れたり、強靭な特殊部隊に命を狙われたりと、エキサイティングすぎる展開が止めどなく押し寄せてくる。
前作も前々作も近年のハリウッド大作にしては珍しく、2時間に満たない上映時間にあらゆる要素がぎっしりと詰め込まれていたが、本作のスピード感と密度はそれ以上。壁一面いっぱいに広がる巨大スクリーンのIMAXが作りだす臨場感と相まって、一瞬で映画の世界に引き込まれること間違いなし。加えて本作はIMAX認証デジタルカメラで撮影された「Filmed for IMAX」作品。IMAXシアターでは、一部のシーンにおいて画角が1.90:1に広がり、見える範囲がぐっと広がる映像体験ができる。“飽きがこない”どころか“飽きている暇もない”疾走感と臨場感に満ちた怒涛の展開を寸分も逃すことなく堪能すれば、興奮の連続に喉の奥までカラッカラになっていることだろう。