面白おかしく体のことが学べる『はたらく細胞』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、細胞を擬人化した同名漫画を実写映画化、スパイダーマンの宿敵として知られるクレイヴン・ザ・ハンター誕生の物語、日本の公立小学校に通う小学生の1年を追ったドキュメンタリーの、ワクワクする3本。
サイエンス作品としての側面が強調されている…『はたらく細胞』(公開中)
体内の細胞を擬人化して描き、その斬新かつユニークな設定が大きな話題を呼んだ漫画「はたらく細胞」。テレビアニメも大ヒットした同作が実写映画になった。赤血球、白血球、血小板といったおなじみの細胞から、キラーT細胞、NK細胞のような少し聞きなじみのない細胞まで、それぞれの特性や役割をベースにしたキャラクター設定で活躍し、面白おかしく体のことが学べる。本作のオリジナルの設定が、人間の親子役で芦田愛菜、阿部サダヲが出演しているところ。
芦田演じる女子高生が憧れの先輩に出会った際には、“トキメキ”によってアドレナリンが上昇して体内がリオのカーニバルのようなお祭り騒ぎになり、阿部扮する父親がビールを飲めば体内にアルコールの雨が降るなど、人間の行動と体内環境が密接に相互し合っている様子が伝わり、よりサイエンス作品としての側面が強調されている。そして、体の中で永野芽郁=赤血球、佐藤健=白血球たち細胞が頑張っているんだ!と想像すれば、日々のアルコールや油っぽい食事を控えたり、運動をしたり、睡眠を取ったりと、体に優しい生活を少しは心がけるきっかけにもなるかもしれない。(ライター・平尾嘉浩)
R15+指定も納得のバイオレンスの連続…『クレイヴン・ザ・ハンター』(公開中)
マーベル・コミックのヴィランにして最強のハンター、クレイヴンの激闘を描くアクション・エンタテインメント。狩りのさなかライオンに襲われたセルゲイは、呪術師の秘薬とライオンの血液の作用によって超人的な身体能力を持つクレイヴンになる。スパイダーマンの宿敵でライバルでもあるクレイヴンの映画デビュー作。密猟者の乱獲を目にしたクレイヴンが、違法ハンターやその背後にいる犯罪組織を血祭りに上げていく。
ヴィランが主人公だけに、ナイフやボウなど刃物を使ったクレイヴンの悪党狩りは壮絶のひとこと。R15+指定も納得のバイオレンスの連続だ。ただしアクションシーンはどれもアップテンポで、不快感よりダイナミズムを押し出した作りになっている。荒っぽい展開や主演のアーロン・テイラー=ジョンソンの太々しい演技を含め、よい意味でB級テイストあふれる痛快作。ザ・フォーリナーなどヴィランたちとの戦いや、セルゲイの父でロシアン・マフィアのドンを演じたラッセル・クロウの圧倒的な存在感も見どころだ。(映画ライター・神武団四郎)
ぐんぐん育っていく子どもたちの姿に胸がいっぱいになる…『小学校~それは小さな社会~』(公開中)
小学校入学前の6歳児は、世界中の6歳児と同じようだが、卒業する頃には、日本社会の基礎となる特質を体現するようになっている。英国人の父と日本人の母を持つ山崎エマ監督が世田谷区の協力の下、1年間、150日、700時間、公立小学校でカメラを回したドキュメンタリー。まだ子どもの新1年生を世話する6年生は彼らの規範となるよう、上級生らしい行動を見せる。6年の間に彼らはなにをどう学ぶのか。
日本式教育である「TOKKATSU(特活)」(学級会や日直など、教科外の活動、特別活動)。日本人が当たり前にやっていることは海外から見ると驚きだらけ。個性も大事にしたいが、日本人らしい調和、規律も必要。教師の厳しい言葉に時に涙を見せながら、ぐんぐん育っていく子どもたちの姿に胸がいっぱいになる。変わらないようでいて、進化し続ける小学校の現在。駅のホームや空港、店前、公共の場で自然と列を作り、サッカーのサポーターや大谷翔平選手がゴミを拾って称賛される日本人の原点がここに。(映画ライター・高山亜紀)
映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。
構成/サンクレイオ翼