イ・ジョンウン、パク・ソンフン、イ・ドンフィ…2025年期待のバイプレイヤー俳優を韓国ライターが一挙紹介!
主役に負けないくらい強烈な存在感を放つバイプレイヤーたちの活躍が目立つのが、世界から注目され、たくさんのファンに愛され続けている韓国映画やドラマの特徴の1つだ。MOVIE WALKER PRESSは韓国コンテンツに造詣が深いライターへアンケートを実施し、作品の完成度を極める“イチ推しバイプレイヤー”を紹介してもらった。そのラインナップは歳を疑うくらい老練な演技を披露する子役から、圧倒的な経歴と実力を誇るベテラン俳優まで、「名前はしらなかったけど見たことある!」「確かに、この俳優の演技はすばらしい!」と頷く人も多いはず!
“残念な脇役”に魅力を吹き込む天才!アドリブの達人との呼び名もあるイ・ドンフィ
筆者が彼の魅力の虜になってしまったのは、「恋のスケッチ〜応答せよ1988〜」がきっかけだ。本作は、ソウルの横丁で暮らす5つの家族と5人の幼馴染の日常と恋愛模様、成長を描いたストーリーなのだが、劇中でイ・ドンフィはイ・ヘリ扮する主人公ドクソンの幼馴染の1人であるドンリョンを演じている。幼馴染の中で唯一ドクソンと恋愛の絡みがなく、勉強が苦手なお調子者と一見残念なキャラのように思えるのだが、イ・ドンフィのコミカルな演技によってドンリョンは独特のユーモアを持った味わい深い人物になった。また、出演作の中でも特に話題となった映画『エクストリーム・ジョブ』(19)では、ポンコツ捜査班に所属する堅物な刑事という地味で目立たない役に「真面目すぎて逆にシュールで笑える」という魅力を加えている。後に数々のインタビューにて彼が台詞の大部分にアドリブを入れていたことがわかったのだが、その場その場で生まれるリアルな言葉が役に独特の面白みを持たせているのだろう。
(ライター・AMO)
『犯罪都市 PUNISHMENT』(24)ではITの申し子のヴィラン、「搜査班長 1958」では無骨な田舎刑事と、真逆のキャラを演じたイ・ドンフィ。最近は「カジノ」などシリアスな作品が多めだが、彼の出世作「恋のスケッチ〜応答せよ1988〜」をはじめとして、『エクストリームジョブ』、「ペガサスマーケット」など、コメディがハマる俳優。「何だかヘンテコ」なキャラを演じたら、右に出る者は居ないと思う。“アドリブ王”としても有名なので、どこがアドリブなのかを推測しながら観るのも楽しい。また、実際の彼はとてもオシャレ。ファッション誌のグラビアでは、けだるいセクシーさ爆発で“イケオジ”な姿にドキドキ。普段の人見知りでシャイな雰囲気も母性本能をくすぐってキュンとさせるが、仲の良い俳優仲間とのバラエティでのオモシロトークが飛び出すリラックスした雰囲気にも好感。役柄を含め見るたびに印象が違い、まだまだ知らない顔がありそうなイ・ドンフィ。次はどんな姿で私たちを驚かせてくれるか楽しみだ。
(ライター・鳥居美保)
強烈な悪役から愛すべき父親役まで!振り幅ある演技力が持ち味のカメレオン俳優、キム・ソンギュン
キム・ソンギュンといえば、初めて彼のことを認識したのはどの作品なのか思い出せないほど、数々のヒット作に出演しているイメージがある。デビュー作である映画『悪いやつら』(12)では釜山を牛耳るヤクザ組織の一員を演じ、『隣人-The Neighbors-』(12)では連続殺人犯、『ファイ 悪魔に育てられた少年』(14)では凶悪なサイコパスに扮するなど、初期は悪役専門俳優として名を馳せていたが、その後徐々に正義感ある役やほっこりするような役にも挑戦。「恋のスケッチ〜応答せよ1988〜」では、しょうもないギャグを連発しつつどこか憎めない父親、「D.P. -脱走兵追跡官-」では軍組織の中で不条理やいじめから部下を守る頼もしい上官などを好演するなど、毎作品ごとにガラリと異なった姿を見せてくれるところが魅力的だ。彼の振り幅ある演技は他の登場人物をより引き立て、ストーリーをおもしろくする上でなくてはならないスパイスとなっていると感じる。
(ライター・AMO)
日本でも人気急上昇!震えるほど繊細な演技で人々を魅了してしまうカン・フン
「私のヘリへ ~惹かれゆく愛の扉~」はカン・フンのドラマだったと言っても過言ではない。メインキャストに劣らない表情の演技が光っていた俳優だ。思わず「そんな演じ方で魅せてくるなんて聞いてない!」と突っ込んでしまった人もいたのではないだろうか。カン・フン演じるジュヨンは確かに主人公ヘリの恋人だったし、2番手という言葉では片付けられない複雑な役どころ。受け入れざるを得ない結果を前に、言葉にできない思いを震えるほど繊細に表現していて幾度となく感情移入してしまった。
2014年に短編映画で俳優デビュー、WEBドラマ出演を経て、2021年「赤い袖先」でMBC演技大賞の新人賞を受賞。時代劇ドラマ「コッソンビ熱愛史」でも韓服姿を披露している。2023年、2024年には日本でもファンミーティングを開催しており、人気とともに認知度も上がること間違いなしだろう。2025年には天才司法解剖医の犯罪心理スリラー「メスを持つハンター(原題:여성을 가진 사냥꾼)」で刑事役として出演する。彼を深堀りしてくれる作品やキャラクターとの出会いに期待しながら活躍を楽しみにしている。
(ライター・ヨシン)
存在感抜群!見れば見るほど、なぜか可愛く感じてしまう魔性の魅力、ユ・へジン
韓国映画のバイプレイヤーの凄さは、スクリーンの脇で培った巧みなスキルを主演級でも発揮するところで、ユ・ヘジンもその1人。『梟ーフクロウー』(22)で彼が演じた狂気の王・仁祖はしっかり胸に刻み込まれたし、『破墓/パミョ』(24)で演じた葬儀師の目立たないながら隙のない存在感も見事で、特に霊安室のシーンで披露された葬送曲の朗々とした歌声に魅了された。最優秀監督賞のコメントでチャン・ジェヒョン監督がユ・へジンに対して「可愛い」と言及していたように、そばにいてほしいような人懐っこさがある俳優だと思っている。そんな彼の愛嬌がぎっしり詰まった1本が、個人的に推したい久々の主演映画『マイ・スイート・ハニー』(23)。製菓会社の堅物研究員が、恋愛適齢期を逃した男女の不思議で温かいロマンスで、胸がときめいた表情の可愛らしさ、恋愛経験の少なさを反映したぎこちないキスシーンのリアリティはさすがの名演だった。
(ライター・荒井 南)
今後主演に羽ばたくこと間違いない!端役でも視線を釘付けにするパク・セジン
演技巧者の多い韓国映画界には、一瞬見ただけで「この人は群を抜いている」と思わされる俳優がいる。ノワール『対外秘』(23)を観ていて、チョ・ジヌン演じる政治家への転身を目論み徐々に手を汚すヘウンを追求するソン記者に魅入った。上層部からの圧力に抵抗しながら不正を暴こうとする強靱さを表現する眼差し、安定感のあるセリフ回しでただ者で無いと調べてみると、俳優キム・ユンソクが初監督した『未成年』(19)のパク・セジンだった。互いの親の不倫・妊娠がきっかけで優等生ジュリと奇妙な姉妹関係になっていくクラスの問題児ユナを演じていて、どうしようもない大人たち間で成長していくティーンを等身大に表現していて好もしかった。ジュリ役のキム・ヘジュンは2024年、ドラマ「殺し屋たちの店」で見事に主役を務めていたので、パク・セジンも今後は端役から主演に羽ばたくこと間違いない。
(ライター・荒井 南)