『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』近藤亮太が後輩監督らと語り合う!「日本ホラー映画大賞」入賞監督が集合
「撮影の時は本当につらかったけれど、やってよかった」(及川)
――今回初めて「日本ホラー映画大賞」に参加された及川監督。『闇の経絡』は東日本大震災の被災地を舞台に、謎の暴走車に襲われ夫を失った女性を描いた物語でした。選考委員の方々から作品の感想をもらっていかがでしたか?
及川「いままであまりこういう機会がなかったので、作品の見方をはじめ自分が思っていたのとは違う感想を抱かれる方が多くて発見になりました。講評の時に宇野維正さんが『震災要素はなくていいんじゃないか』とおっしゃっていたのは特に発見でした。僕自身が宮城県出身で被災者であったことから、違和感を持たず物語に取り入れていたので」
近藤「応募される時にはみなさん過去の受賞作から傾向と対策を立てて臨まれると思いますが、お二人はどうだったんですか?」
小泉「僕は逆に外しにいくというか、大賞受賞作も下津優太監督の『みなに幸あれ』が因習やヒトコワで、『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』が正統派Jホラーだったので、次は“宇宙”でどうだろうかという感じでした(笑)」
近藤「外しにいくのも傾向を読んでいるというか、流れに逆らう生き方も流れのなかにありますよね(笑)。及川さんはどうだったんですか?」
及川「『闇の経絡』は映画美学校の卒業制作として作りあげた作品だったので、完成後に応募を決めたんです。そもそもホラー映画が大好きだったので、やってみたい気持ちはあったんですが、実際に撮ってみたらホラーよりもアクション寄りの脳みそで撮ってしまった感じがしていて。だから自分でもこれはどっちなんだろうと不安の方が優っていました。映画美学校の先輩として、近藤監督はどうご覧になりましたか…?」
近藤「自信をもって大丈夫です。ちゃんとホラー映画になっていましたよ!」
――『闇の経絡』の見せ場は、なんといってもクライマックスの雨のシーンですよね。
小泉「あれは雨降らし(放水用の装置等を使い、雨のシーンを撮影する技術)をやったんですか?」
及川「実はあれ、自然な雨なんです」
近藤・小泉「えー!」
及川「クライマックスシーンの撮影に入ったら急に雨が降って、風も強くなってきて…」
近藤「もうそれで撮るしかないと?」
小泉「奇跡じゃないですか!」
及川「偶然撮れたんですけど、スタッフは全員びしょ濡れになってしまいました」
近藤「雨のなかでの撮影はスタッフからしたらたまったもんじゃないですよね(笑)」
小泉「あの量はたしかに人工的な雨降らしじゃできないですね」
近藤「ちゃんとシーンが進むまで降りつづけていましたし、かなり映画の神様に愛されてますねえ」
及川「撮影の時は本当に辛かったですが、いまになってみるとやってよかったと思っています」