『ターミネーター2』に『ウォーリー』、『野生の島のロズ』まで!ロボットやAIに芽生える“心”を描いた感涙必至の映画たち
ライトや音声でコミュニケーションを図るロボット同士のラブストーリー『WALL・E ウォーリー』
「ファインディング・ニモ」シリーズのアンドリュー・スタントンが監督と脚本を手掛けたピクサーの長編アニメーション『WALL・E ウォーリー』(08)。西暦2805年の地球と宇宙を舞台に描かれる、旧型ロボットと最新ロボットのピュアなロマンスは多くの観客の胸に響き、アカデミー賞長編アニメ映画賞、ゴールデン・グローブ賞アニメ賞ほか、数々の賞を受賞した。
物語の主人公は、人類が去ってから700年が経った地球で、黙々とゴミを集めるゴミ処理ロボットのウォーリーと、地球に派遣された植物探査ロボットのイヴ。製造された年代は異なるものの、共に産業用の量産型ロボットである点が本作の特徴だ。ビジュアルは典型的なロボットで、セリフもほとんどない。にもかかわらず、ライトの表示や機械音、動作の一つ一つから2人の意志や目的がはっきりと伝わることに感動する。まるでダンスのような宇宙空間での飛行シーン、初めて手と手が触れた時の多幸感…。心を温かく満たす美しいシーンが満載だ。
穏やかで知的な人型ロボットが見つめてきた記憶を描く『アフター・ヤン』
気鋭の映画会社A24が製作した『アフター・ヤン』(21)の舞台は、一見、人間と見分けがつかない人型ロボットが、一般家庭にも普及した未来。小津安二郎監督を敬愛する『コロンバス』(17)のコゴナダ監督が、故障して動かなくなったベビーシッター・ロボットの青年ヤン(ジャスティン・H・ミン)と、彼と長年一緒に暮らしてきた家族の姿を、静謐なヒューマンドラマとして描き切った。
劇中、繰り返し映しだされるのが、ヤンの体内のメモリバンクに保存された映像記録の数々。どれも数秒の断片なのに、ヤンがたしかに生きた証としてまぶしく輝き、観ているうちに、なぜか涙が出そうになる。コリン・ファレル演じるジェイクと、その妻カイラ(ジョディ・ターナー=スミス)、中国系の幼い養女ミカ(マレア・エマ・チャンドラウィジャヤ)、それぞれが思い出すかつてのヤンとの何気ない会話も印象的で、胸にじんわりとしみ込んでいく。高度にプログラミングされ、心的機能を持つようになったAIと人間が敵対せず、かけがえのない関係を築くという理想の世界線を提示してくれる奥深い名作だ。