『万引き家族』だけじゃない!家族と向き合うヒントをくれる映画3選
5月20日の未明、映画ファンに歓喜の報が届いた。第71回カンヌ国際映画祭で是枝裕和監督による『万引き家族』(6月8日公開)がコンペティション部門の最高賞パルムドールに輝いた。これまでにも様々な家族のかたちを描いてきた是枝監督による同作以外にも、今週末から6月にかけて、秀逸な“家族映画”が続々と公開される。
平田家に三度目のピンチ!主婦VSダメ夫のバトルが勃発
正統派な家族ものが見たいなら、山田洋次監督が手掛ける人気シリーズの第3弾『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』(5月25日公開)がおすすめ。今回は、3世代が同居する平田家の主婦・史枝(夏川結衣)が、夫とのトラブルがきっかけで家出をしてしまったことから起きる騒動が描かれる。『男はつらいよ』など人情喜劇を得意とする山田監督が紡ぎ出す、どこの家庭にでも起こりうるような普遍的な事柄と笑いに、共感&ほっこり。『東京家族』(12)から同じメンバーで家族を演じ続けている橋爪功らキャスト陣の掛け合いも、ますますパワーアップしている!
舞台は大阪。コテコテ&エネルギッシュな家族と仲間たち
一方、こちらも笑いと涙が満載なのが伝説の舞台を映画化した『焼肉ドラゴン』(6月22日公開)。大阪万博の開催で盛り上がる1970年の関西の地方都市を舞台に、焼肉屋を営む在日韓国人一家6人と常連客らが繰り広げるエピソードがつづられる。真木よう子、井上真央、大泉洋らが扮する登場キャラクターたちは強烈で、それぞれの喜怒哀楽も激しめ!そんな彼らが、自分の子どもだけでなく他人の子どもでも悪いことは悪いと叱れるような人々がいた時代を背景に、古きよき家族の姿を見せてくれる。
日本へ、世界へ、深いメッセージ性をはらんだ家族のキズナ
カンヌで大喝采を浴びた『万引き家族』は是枝監督が10年来温めてきた企画。タイトル通り、万引きで生計を立てている一家の物語だ。祖母の年金を頼りに、足りない分を万引きでまかなっている5人家族の元にある日、5歳の少女が加わる。軽犯罪によって家族は強く結ばれていくが、ある事件をきっかけにバラバラになってしまう…。多少のトラブルはあるものの安心して笑って観られる前述の2作に対し、現代日本が抱える“貧困”というシリアスなテーマを扱う。しかし、本作で描かれているのも間違いなく“家族”の一つのかたちだ。
3作を観れば、一人暮らしの人は家族が恋しくなったり、同居しているもののコミュニケーションが少ないなんて人は態度を改めようなんて感じたり…。それぞれが“家族”と向き合うヒントになるはずだ。
文/トライワークス