黒沢清、園子温、石井裕也の原点「ぴあフィルムフェスティバル」は、なぜここまで注目されるのか?
1977年に雑誌「ぴあ」のイベントがきっかけで誕生し、これまで『散歩する侵略者』(17)の黒沢清や『新宿スワン』シリーズの園子温、『ウォーターボーイズ』(01)の矢口史靖、『舟を編む』(13)の石井裕也など、現在の日本映画界の第一線で活躍する監督たちの才能を次々と発掘してきた「ぴあフィルムフェスティバル」(通称“PFF”)。名監督への登竜門と呼ばれ、今年第40回という節目を迎えたPFFが、9月8日(土)から開催される。そんな映画祭の注目ポイントを、気になる今回のラインナップと共に紹介したい。
未来の巨匠が集結!?“PFFアワード”に個性豊かな作品が勢ぞろい!
近年は日本国内でも100近くにまで映画祭が増え、作品を公募する“コンペ形式”を採用する映画祭も決して珍しくはない。しかしPFFは、コンペにあたる“PFFアワード”を(いち早く)88年の第11回から30年間も継続して行っている、類まれでなんともストイックな映画祭なのだ。歴代のグランプリ受賞者には先述の矢口(90年)、石井(07年)や、『怒り』(16)の李相日(00年)、『ロマンス』(15)のタナダユキ(01年)など、そうそうたる監督たちが名を連ねる。今年は応募作品529本の中から選りすぐりの18作品が入選し、この中から最終審査を経て決定する、グランプリなどの表彰が9月20日(木)に行われる。
「PFFアワード2018」入選作品には、今年公開の『聖なるもの』(17)にも出演した若手女優・小川紗良の監督作で、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭でも上映された『最期の星』や、座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルでコンペティション部門の大賞に選ばれた『山河の子』。カナザワ映画祭で期待の新人監督賞を受賞した『一文字拳 序章 ―最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い―』など、他の映画祭でもその名をとどろかせた作品もそろい、クオリティの高さがうかがえる。
賞の行方を決めるのは…“邦画界を代表する”最終審査員メンバー!
そんな群雄割拠の作品とその監督たちの命運を握るのが、5名の最終審査員。毎年異なる顔ぶれでジャッジしているが、今年はPFFアワード出身である荻上直子の『彼らが本気で編むときは、』(17)や中村義洋の『予告犯』(15)で主演を務めた生田斗真も参加。そのほか、大学在学中に「PFFアワード1994」グランプリを獲得した『BLEACH』(18)の佐藤信介や、『勝手にふるえてろ』(17)の大九明子監督、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(18)の冨永昌敬監督、『生きてるだけで、愛』(11月9日公開)の佐藤公美プロデューサーが大役を担う。20日の表彰式は、例年にも増してにぎやかになりそうだ。