銀座テーラーが解説!88歳でもオシャレを忘れぬ“大人の着こなし”の極意【写真11点】
アルゼンチンに住む仕立屋の老人が祖国ポーランドへと帰郷するまでの旅路を描いた『家へ帰ろう』(12月22日公開)。本作で目を見張るのが、88歳とは思えぬ主人公のオシャレなファッションの数々だ。仕立屋ならではのセンスが炸裂した劇中ファッションを、オーダースーツの老舗・銀座テーラーに解説してもらった。
本作は、仕立屋のアブラハムが、88歳という高齢のために彼を老人施設へ入れようとする家族から逃れるため、かつてホロコーストから逃れた自分をかくまってくれた70年以上会っていない親友に、自分が仕立てた最後のスーツを届けようと旅に出るロードムービー。アブラハムはアルゼンチンから故郷ポーランドへの長旅の間、様々な“大人の着こなし”を披露している。
例えば、颯爽と飛行機へと乗り込む際の服装は、品の良さを感じさせるストライプの入ったグレーの3ピーススーツ。銀座テーラーによると、ワイド幅のストライプは目立つ柄ゆえに、意志の強さや自信を表しているのだとか。またスーツにナイキのシューズを足元に合わせるのも最先端をいくコーディネート。パーフェクトなサイズ感が大人の男性の貫禄と威厳を漂わせるのに一役買っているのだそう。
また、皮肉たっぷりだがどこか愛おしい性格で、行く先々で女性に手を差し伸べられるモテ男なアブラハム。そんな彼を象徴しているのが、落ち着きのあるくすんだオレンジのジャケット姿だ。ジャケットにシャツだけでは物足りない印象となりがちだが、おしゃれ上級者のアブラハムは柄物のスカーフを取り入れることで、大人の色気と哀愁を漂わせているのだという。さらに小物使いにも彼のテクニックは発揮されており、このジャケットに鮮やかな水色のハンチング帽をチョイス。秋冬にピッタリのコーデュロイ素材で、季節感を楽しむと同時に少なくなった髪を守るという機能面もしっかり追求しており、実用性とファッション性を両立させているのだそう。
さらに、アブラハムが旅先で出会う宿の女主人マリアが着こなしている、大人の女性らしい色鮮やかなパープルのワンピースについても、シンプルなデザインの洋服は人を引き立てるため、自信のある人しか着こなせないそうで、マリアの気丈なキャラクターを際立たせているという。
華やかなファッションが数多く登場する本作だが、おしゃれな見た目に魅了されるだけでなく、キャラクターの性格にどのような説得力をもたらすのかという視点で観てみると、より映画に深みを感じられそうだ。
文/トライワークス